釣り遊び
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清流の管理釣り場で ニジマス釣り【特別編】
芥川(あくたがわ)清・渓流魚釣り場(大阪府高槻市)
芥川(あくたがわ)清・渓流魚釣り場(大阪府高槻市)
【根掛かり編】
この連載は「釣りのトラブルシューティング」がテーマ。
今回は「根掛かり」についてお伝えします。釣りの種類によって対応方法が異なるのですが、
今回はルアー釣りを例にとって紹介しますね。
海や湖、川などで幅広く通用する方法で、岸からの釣りでも、ボートでの釣りでもOKです。
根がかりを減らすことで、釣り場にゴミを残さないように釣りを楽しみましょう!
根掛かりは釣りの代表的なトラブル。「根」つまり、水中の障害物にハリが「掛かる」ということで「根掛かり」と呼ばれます。根掛かりしたルアーをうまく外せなかった場合、最悪イトを切らなければならなくなります。大切なルアーがゴミとして釣り場に残ってしまうことになるため、全力で避けなければなりません。そのためにこの記事では根掛かりの対応方法と防止方法を説明します。
ひと口に根掛かりといっても写真のようにさまざまなケースが存在します。引っかかる相手もさまざまですし……。
必ずしもハリが掛かっているとは限りません。写真のようにイトが挟まっていたり、ルアーの本体がつかえてしまっていることも多いのです。
根掛かりは大まかに2つの種類に分けることができます。それは「陸上の根掛かり」と「水中の根掛かり」です。陸上の根掛かりとは、ルアーを投げる際に目測を誤ったり、左右がズレたりして、ルアーが陸上の木や草などに引っかかってしまうケースを差します。
なぜこの場合を先に説明するかと言うと、ケガなどの事故につながりやすいからです。たとえば木に引っかかったルアーが外れたときに身体に飛んできてハリが刺さってしまったり、ルアーを外す際に誤ってハリが指に刺さったりしてしまうリスクがあるので、正しい対応方法を頭に入れることが大事です。
では、アシ(植物)にルアーが引っかかってしまった場合を見てみましょう。写真のようなケースをイメージしてください。
ほかにも木や護岸のフジツボ、杭など、さまざまなものに引っ掛かる場合があります。このとき大事なのは、焦って急に引っ張ったり、強引に巻いたりしないことです。根掛かりの対応において「急」と「強引」がNGです。
まずはサオを立てて優しくチョンチョンとルアーを動かしてみてようすを見てみましょう。ハリが刺さっておらず、ルアーのボディーが引っ掛かっているだけの場合であれば、軽くゆするだけで根掛かりが解除できます。引っ張る方向を変えてチョンチョンしてみると簡単に外れるケースもあります。このとき強く引っ張ってしまうと外れたルアーが勢いよく飛んできてケガにつながることがあるので気をつけましょう。「優しく慎重にゆすってみる」意識が重要です。
では、ゆすってみて外れなかった場合について話を進めますね。
① 手が届く場合
まずルアーに手が届く場合について。ついつい素手でルアーを回収したくなるのですが、これは絶対に避けましょう。必ずペンチを使ってください。ルアーを素手で触ってしまうと、ハリが外れた際の勢いでほかのハリが指に刺さったりすることがあります。また、植物の葉っぱやトゲでケガをしてしまうこともあります。ペンチを用いてルアーを外すことでケガを防ぐことができます(魚の口からハリを外すときも同じことが言えます)。枯れた木の枝などにハリが刺さった場合、一度ハサミで短くカットしてから作業するのもオススメです(生きた植物の場合は極力避けましょう)。枝は曲がった後の反発力などで予期せぬ動きをすることがあり、その際にハリが刺さってしまうケースもあります。無事にルアーを回収できたあとは一度結び直すことをオススメします。根掛かりの際は石や枝などでイトが傷ついていることがあるためです。
② 手が届かない場合
手が届かない場合は「根掛かり回収棒」と呼ばれるアイテムが大活躍します。根掛かり回収棒は長さが2~7m(長さはモデルにより異なります)あり、離れたところの根掛かりでも回収しやすいアイテムです。ルアー釣りを楽しむ場合は大活躍しますよ。
使い方は簡単。伸ばして、先端の金具部分にルアーを引っ掛けて回収するだけです。ハリが掛かっている向きをよく観察して外すとうまくいくことが多いです。
根掛かり回収棒を駆使しても取れない場合は引っ張るしかありません。写真のようにサオを曲げないようにして(サオの破損防止)、スプール(リールのイトが巻いてある部分)を押さえて引っ張るのですが、このとき事故を防ぐためにとても重要なことがあります。
それはルアーが外れた際に身体に飛んでこないようにすること。イラストのように杭などでイトに角度をつけて、ルアーが飛んでくる向きを変更してから引っ張りましょう。もちろん、延長線上にほかの人がいないことは注意深く確認してください。
徐々に力を入れていくと、最終的には、無事ルアーが外れるか、ハリが伸びてルアーが外れるか、イトが切れてしまうかのいずれかになります。イトが切れてしまうケースは極力防ぎたいので、できるだけ太いイトを使うことが大切です。
イトが太いと魚が釣れにくくなるのでは……という心配もあるかもしれませんが、魚釣りにおいてイトを切らないようにすることは魚を釣ることよりも大事なことです。末永く釣りを楽しむためにも、釣り場にゴミを残さないことを第一に考えましょう。
続いては水中の根掛かり、つまり一般的な根掛かりについて触れていきます。水中の障害物(底の石や流木など)にルアーが引っ掛かってしまった場合も「急」と「強引」を避けることが大事です。ルアーが動かなくなったら、まずサオを立てて、チョンチョンと連続的に優しくイトを張ったり緩めたりしてみてください。最初はごく弱く、徐々に強くチョンチョンしてみましょう。
このとき、サオの向きを変えながらチョンチョンすると外れやすいです。なぜなら、たとえば写真のようにルアーが引っ掛かっている場合、向きを変えることで簡単に外れるからです。水中でも同じことが起きています。
それでも外れない場合、立ち位置を変えてみましょう。ルアーを引いてきた向きとは逆方向に引っ張ることができる位置からトライすると外れやすい傾向があります。この理由も上の写真で説明したとおりです。
イトを張ったり緩めたりを鋭く繰り返すことで根掛かりを外す方法もあるのですが、このやり方は緩急が大事で難易度がやや高いので最初のうちはオススメしません。まずは優しく解除する方法を覚えましょう。
向きを変えてトライしても根掛かりが取れない場合は根掛かり回収棒の出番です。水中の根掛かりの場合は使い方がやや異なります。
金具にイトを通して、イトを伝って水中のルアーまで金具を届けます。ルアーに触ったらその場で優しく上下左右に動かしてみて金具にルアーを引っ掛けましょう。無事引っかかったらその場で動かすだけで根掛かりが外れることもありますし、外れない場合は引っ張ることでハリが伸びたりしてルアーを回収できます。
水深がある場合など根掛かり回収棒が届かないときはヒモ付きの回収器の出番です。使い方はシンプル。
オモリの部分にイトを掛けて……
ルアーまでオモリを滑らせます。ルアーにオモリが届いたらその場でゆすってチェーンにルアーを引っ掛けます。引っ掛かったら引っ張って回収すればOK。ただし、遠くで引っ掛かった場合はいずれの回収機も使えません。この場合、最終的には陸上のときと同じように引っ張らなければなりません。やり方は一緒ですが、水中の場合がルアーが飛んでくる心配はないので、そのまままっすぐ引っ張ればOKです。引っ張る方向ですが、立ち位置を変えて引っ張ったほうがルアーが外れる確率が高いです。水中の場合も、太いイトを使うことで回収率が上がりますよ!
ここまで根掛かりした際の対応について触れてきましたが、そもそも根掛かりをさせないことが一番大事です。根掛かりを防ぐためには……。
① 障害物スレスレをねらいすぎない
釣りをしていると障害物ギリギリをねらいたくなるものですし、実際そのほうがよく釣れる傾向があります。でも、自分の腕と相談して「根掛かりの確率が高そうだな……」と感じたら、あまり攻めすぎないことも勇気ある判断です。繰り返しになりますが、釣り場にゴミを残さないようにすることの優先順位は非常に高いです。釣る魚を増やすより、マナーよく釣りを楽しむことをまずは目指しましょう。
ハリ先を隠したワーム
スピナーベイト
フロッグ
障害物スレスレを釣りたい場合、根掛かりしにくいタイプのルアーを使うという手もあります。写真のようにハリ先を隠したワームやスピナーベイト、フロッグなどは根掛かりしにくいルアーの代表です。
② 前触れに気付く
水中の根掛かりを防ぐためには「前触れ」に気付くことがとても大事になります。「ルアーのプルプル感がいつもと違うな~」「イトが何かに触れている気がする……」というときは、ルアーが障害物に触れるサイン。浮くタイプのルアーであれば巻くのをやめてルアーを浮かしてみたり、巻くスピードを押さえて慎重に引いてみたりすることで根掛かりをかわせます。
③ 足もとを大事に釣る
根掛かりは遠くほど外しにくくなるので、遠くで根掛かりする機会を減らすことがルアーをなくさないコツです。慣れないうちは足もとを大事に釣ることを心がけましょう。
今回は根掛かりをテーマに対応策と防止策を紹介しました。末永く釣りを楽しむために、根掛かりを減らし、うまく対処することがとても大事なことです。動画と合わせて参考にしていただければ幸いです。