身近な小磯のウミタナゴ釣り

釣りはじめていいですか?

身近な小磯のウミタナゴ釣り(千葉県・南房総)

その 10

身近な小磯のウミタナゴ釣り
(千葉県・南房総)

ねらう魚も、釣り方も、場所も数多くあるのが釣りの世界。
釣りってどうやってはじめるのか、テーマごとに学んでいきましょう。
生徒は「釣り堀めぐり」をしている河﨑莉奈さんと、駒澤清華さんです。


左:河﨑莉奈(かわさき・りな)さん、右:駒澤清華(こまざわ・きよか)さん

▪ 連動動画でもチェック!
https://youtu.be/layc-wyPdzU

釣りたい魚はウミタナゴ。身近な磯や堤防の周りに棲んでいて、なかでも海藻類が生えた浅場の砂地や岩礁がある場所を好みます。大きさは20㎝前後ですが、大きなものは30㎝近くまで育ちます。シンプルなウキ仕掛けでねらえ、ハリに掛かるとよく引き、昔から海では人気の対象魚です。新鮮なものは、塩焼き、煮付けなどで美味しく食べられます

今回は千葉県の南房総にやって来ました。足場のよい平らな磯が広がっていて、所々に海藻もあります。こうした場所の中で、岸寄りではあっても、潮がある程度動いている場所にウミタナゴはいます

釣りを教えてくれるのは、月刊つり人の八木健介編集長(右)。シンプルなノベザオ(リールなしのサオ)で挑戦です

服装は「レインウエア」「ライフジャケット」「磯歩きに適したシューズ」が基本。ライフジャケットは磯・堤防釣り用のベストタイプが最適ですが、今回のような足場のよい場所であれば他のものでも大丈夫です。靴も多くの場所は運動靴でも問題ありませんが、磯用シューズであればさらに安心感が増します。ただし、どちらの場合も濡れた岩の上は滑りやすいので、不用意に乗らないようにしましょう

基本の道具:サオと仕掛け

今回のテーマはウミタナゴ釣り。その中でも「釣りの原点」といえるような、ノベザオを使ったウキ釣りで楽しみます

ノベザオは万能ザオや渓流ザオの4.5~5.3mを使います。穂先にミチイトを取り付けたら、先端から順に延ばして、いっぱいの長さにします。ミチイトを初めて取り付ける時は、サオいっぱいの長さになったところでカットしましょう。(穂先にミチイトを取り付ける方法こちらを参照

ミチイトはナイロンの0.8~1号を使います。この日はヘラブナ釣り用の色付きタイプを使いました。色が付いていることで屋外でもより見やすくなります

サオにミチイトが付いたら、最初にウキ止メゴムを通してウキをセットします。ウミタナゴ釣りで使うのは、小型の棒ウキ(真ん中。左は太目のタイプ)や玉ウキ(右)です。ウキの浮力が大きすぎるとアタリが出にくいので、Sサイズと表記されていたり、玉ウキの中でも小さめのものを選びます

このあとスイベル(サルカン)やハリも付けるので、ウキはひとまずどこかに仮に固定すればOK。なお、仕掛けが出来上がったあと、ウキの下にはガン玉(オモリ)を取り付けます。オモリが全くないとウキが立たない(または安定しない)ためで、ガン玉の重さは指定があればそれに従い、ない場合は軽めのものを取り付けてみて、ウキが完全に沈んでしまわないけれども安定して立つ重さに調整します。今回は棒ウキには指定があったのでガン玉のB、小型の玉ウキは指定がなかったのでようすを見ながらG6のガン玉を1つ付けて釣りをしました

ミチイトの先にはスイベル(小型の8号くらい)を結びます。ノベザオの釣りでは、ハリがサオの一番下(サオ尻)より少し出るくらいのバランスが釣りやすいので、スイベルはサオ尻より少し上に来るようにし、あとはハリスの長さが加わった時に、ハリがだいたいその位置に来るようにします

なおウキ止メゴムやガン玉などの小物はこうした小物ケースに入れておくと便利。ガン玉を挟むプライヤー(右上)もあったほうが快適です

ハリはハリス付きのウミタナゴ用バリを使います。サイズは釣れるウミタナゴの大きさに合わせますが、まずは6号前後がいいでしょう

エサ(寄せエサと付けエサ)を用意

およそ半日のウミタナゴ釣りで用意したいエサ。海に撒いて魚を寄せるための「アミエビ(右下 16切(約1Kg)×2個)」、アミエビをまとめて撒きやすくするための「配合エサ(左上 1袋(約1.5kg))」、ハリに付けて魚にくわせる「オキアミ(右上 32切(約800g)×1個)」や「ジャリメ(左下)」を用意します。アミエビやオキアミが硬く凍っている場合は、袋のまま海水を張ったバケツにしばらく入れて解凍してから使います。エサは全部を1回で作る必要はなく、今回のものは、2~3人で釣りをし、午前と午後で1回ずつ、合計2回に分けて寄せエサを作ることを前提にした分量です

そのほかに必要なものは、まず「水汲みバケツ(左)」と「バッカン(右)」

次に「ヒシャク(左)」「ヒシャク立て(中)」「マゼラー(右)」も用意しましょう

寄せエサを作ります。最初にバッカンにアミエビ(1個)を入れます

マゼラーで軽く突き崩します。アミエビやオキアミは匂いが強いので、なるべく服などに付かないようにします

配合エサを加えます(1袋の半分)

マゼラーでまんべんなくかき混ぜます。海水を少しずつ加え、全体がしっとりまとまればOKですが、アミエビからも水分が出るので、海水は入れすぎないようにします

バッカンにヒシャク立てとヒシャクをセットすれば寄せエサの準備が完了

ハリに付けるエサはオキアミかジャリメ(またはアオイソメ)です。オキアミは尻尾の先をカットしたところからハリ先を入れて小粒に付けます。頭を取ってしまい、エサ全体を小さくするのも効果的です

ジャリメやアオイソメは端からハリを刺し通し、ハリから出た余分はカットします(写真の状態)。魚の活性が高ければ、ジャリメやアオイソメの端にハリをチョンと刺すだけのチョン掛けにして、余りを短めにカットするのでも大丈夫です

準備ができたら釣ってみよう!

準備できたらさっそく釣り開始。ウミタナゴはプールのような完全な潮溜まりでは釣れませんので、磯際の中でも、ある程度の潮の動きがある場所を探します

こんなふうに水際に海藻が生えているところはチャンス! ただし、仕掛けが海藻に絡まないようには気を付けましょう

釣り方は簡単。ヒシャクで寄せエサを足もとに撒き、周囲にいるはずの魚たちを寄せたら、あとはハリにエサを付けた仕掛けを投入します。ウミタナゴはいれば表層近くまでエサを食いに出てきますので、ウキ下は必要以上に深く(長く)せず、だいたい50㎝くらいにします。寄せエサはバッカンの中からヒシャクですくって撒き、最初は一度に2~3杯、魚が寄ってきたら1~2杯を仕掛け投入前に撒けば充分です。頑張って遠くに撒いても、サオの届かない所へ魚が離れて行ってしまうだけなので、足もとに撒くのがコツです

釣っている間は、ウキから下が流れの中をなるべく自然に漂うようにします。そのためにはサオ先の位置を常に調整して、ミチイトが張りすぎないようにします。そうして寄せエサと仕掛けが同じところを漂っていると……

もう釣れました!「すごい、楽しい!」と駒澤さん

春の日差しに輝くウミタナゴ。ノベザオで釣ると魚の引きも存分に味わえます

海面近くには細長い小魚がいて、その下に少しずんぐりした一回り大きい影が動くのが分かります。それが本命のウミタナゴなのですが、寄せエサをする釣りでは、このように「エサを撒いたら海中のようすも意識的に観察する」のが上達のコツです。それによりどんな魚がいるか、釣りたい魚がどの深さにいるか、エサが流れていく方向はどちらか、といった情報を自分で集められるようになります

河﨑さんもあっという間に釣れました!

細長く小さい魚の正体はトウゴロウイワシ。名前はイワシですがボラの仲間です

「これも釣りたかったんです!カワイイ!」と駒澤さんがヒットさせたのは小さなフグ(コモンフグ)。歯が鋭くハリを嚙み切るフグは、一般的には厄介者とされますが、何を釣りたいかはもちろん自由。潮が緩いところに仕掛けが入るとこれが食ってきます。なお、釣れたフグは絶対に食べてはいけませんので念のため

河﨑さんにはベラも釣れました。まるで歌舞伎役者のよう?

「私たち史上最高に釣れてるんじゃない!(笑)」

この日は20㎝弱のウミタナゴがよく釣れました

八木編集長は少し長めで柔らかめの渓流ザオを使用

「春の休日、子供と一緒に磯遊びをしながら釣りも楽しむには最高のターゲットですね」

30分間の1本勝負

全体によく釣れたこの日は、1日の最後に、河﨑さん、駒澤さん、指南役の八木さんで、ハンデなしの30分1本勝負を行ないました。結果はいかに? 試合のもようは動画でご覧ください!

▪︎連動動画でもチェック!
https://youtu.be/layc-wyPdzU

河﨑莉奈(かわさき・りな)

1996年5月24日生まれ。岡山県出身
小学生のときにおじいちゃんと瀬戸内海の島に釣りに行ってました。「釣り堀めぐり」で都内と東京近郊の釣り堀に行って、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョを釣りました。ほかにもハゼを釣ったことがあります。

駒澤清華(こまざわ・きよか)

1997年5月20日生まれ。北海道出身
お父さんが釣り好きで、小学生のときは毎年家族で石狩湾に行ってました。「釣り堀めぐり」で、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョ、モツゴを釣りました。ほかにもハゼ、セイゴを釣ったことがあります。