釣りのトラブルシューティング&準備

トラブルシューティング

No. 04

【釣りザオ編】

この連載は「釣りのトラブルシューティング」がテーマ。
今回は「釣りザオ」について説明します。
サオは、思わぬところで折ってしまったり、破損してしまったりするものです。
保管時や持ち運ぶとき、釣り場でどんなふうに扱えば安全なのでしょうか?
また、折れてしまったときの対処法についても学んでいきましょう。

サオにまつわるトラブル

ねらう魚や釣り方によって、釣りザオにもさまざまな種類がありますが、サオにまつわるトラブルは「折れる」などの破損がほとんどです。保管方法や運搬時、釣り場での注意事項などについて、サオの種類ごとの特徴とともに正しい扱い方を覚えておきましょう。

釣りザオの種類

まずは、大まかな釣りザオの種類を紹介します。

ノべザオ。リールを使わず、先端の「リリアン」という部分にイトを結んで使うタイプです。

ノべザオは先端から伸ばしていきます。

継ぎ目に差し掛かったら、キュッと軽く力を入れて伸ばします。ここで力を入れすぎると折ってしまったり、しまうときに戻せなくなったりしてしまいます。

延べザオにはサオの先端が飛び出さないように、キャップがついています。細かい部品ですが、なくさないようにしましょう。

リールザオ。スピニングリールやベイトリールなどといったリールを装着して使うサオです。継ぎ目のないタイプのサオを、「1ピース」と呼び、継ぎ数に応じて2ピース、3ピースと増えていきます。

リールザオには、イトを通す「ガイド」というリングがサオについています。ここも破損しやすい部分です。

2ピース以上のサオは、短くしまうことができるのがメリットです。一方、1ピースのサオは強度に優れますが、これ以上短くできないので、持ち運びが少し大変です。

フライフィッシング用のサオとリールです。こちらは渓流など小規模なフィールドで使うサオで、長さは約2m。3ピースくらいになっていることが多いです。

磯釣り用の振りだしザオの先端部分です。こちらもリールを使うサオです。全長5m前後と長いですが、延べザオと同じように先端から伸ばしていくタイプなので、50cmほどにしまうことができます。

磯釣り用の振りだしザオにはこうしたキャップがついているので、保管時には必ずつけて先端を保護しましょう。

自宅での保管方法

どのサオも、先端に向かって細くなっていきますから、シチュエーションを問わずもっとも折れやすいのは、サオの先端部分(「穂先」と呼びます)です。まずは、保管時の注意点について見ていきます。

生活の動線にならないような部屋の隅などに、1カ所にまとめておくことが大事です。当たり前のようですが、子どもやペットが不意に倒してしまったりするので危険です。

さらに、ケースや袋に入れておくと安心です。倒したときの事故を防げるのと、日焼けを防ぐという意味もあります。

持つときは天井に当たらないように気をつけましょう。天井にぶつけて穂先を折ってしまうなんて悲しいことが起こらないように……。可能であれば、天井の高い部屋に置くのがベストです。

ロッドスタンドに置くのもいいでしょう。10本くらい立て掛けられるものだと、だいたい1万円以下で購入できます。見栄えもよく、部屋もすっきりします。

折らないように持ち運ぶ

釣りザオは、思ったよりも簡単に折れてしまうものです。持ち歩くときは、常に「折らないように」という意識を念頭に置いて行動するのが大事です。

電車やバス、徒歩などで移動する場合、ケースに入れて持ち運ぶのがもっとも安全です。

ノべザオであれば、こうした布袋にしまって、バックパックに入れて持ち運びます。

必ず持っておいたほうがいいのは、ロッドベルトです。複数のサオを束ねれば、サオ同士がぶつかる衝撃を和らげてくれます。

ロッドベルトで複数のサオを束ねるときは、ガイドをすべて外向きにした状態にして、ほかのサオを傷つけてしまわないようにします。サオの先端から3:7くらいの位置にベルトを2カ所巻きつければ充分です。

1ピース(継ぎ目のないサオ)の場合、ロッドソックスというものがあると便利です。サオの根もとから先端までを覆うことができます。

1ピースのサオは、買ったときにナイロンなどでできた袋がもらえることが多いです。電車で持ち運ぶときなどによいでしょう。ただし、中にクッションがあるわけではないので、直接的な衝撃には弱いです。

車で持ち運ぶ方法はいくつかあります。いずれの方法も、サオを走行中の衝撃から守り、ほかの荷物が倒れてきたりしても破損しないように置くことがコツです。

天井部分に吊り下げるタイプのロッドホルダーは非常に便利です。サオを衝撃から守れるだけでなく、サオをほかのものと離しておけるため、破損の心配がありません。

ヘッドレストに装着するタイプのカールホルダーも人気です。この場合、バネのようになっている部分にサオ先を乗せ、サオ尻はクーラーボックスなどで高さを出せば安定感が出ます。

専用のホルダーなどがない場合、ベルトで束ねてからサオが動かないように両脇に荷物を置き、クッションなどで衝撃から守るようにしておきましょう。

また、助手席側から置くのも安定感がありおすすめです。車の空間を上手く利用できるので、長いサオも収まります。

サオを買ったときにこうしたケースに入っている場合もあるので、これを使うのもよいでしょう。ちなみに、釣具屋さんによってはゴミとして処分するものを無料で持ち帰ってもいいように置いているお店もあります。

ちなみに飛行機などに持ちこむ場合、こうしたハードタイプの筒(「バズーカ」と呼んだりします)に入れて持ち運ぶことが多いです。

釣り場での扱い方

それでは、釣り場ではどんなことに気をつければよいでしょうか。釣りをしている最中はもちろん、サオを持って移動するとき、サオを置くときなど、共通して言えるのは、「横着をしないこと」です。サオが折れやすい、典型的なパターンを見ていきましょう。

写真のように、穂先を地面に置くのはNGです。周りの人が踏んでしまうことや、自分が踏んでしまうこともあります。

サオをいったん置くときは、安定するところに立て掛けましょう。写真は溝にはまるように置いています。これでもまだ少し不安定ですが、溝のないところに立て掛けるよりはいいでしょう。

このように平らな面に立て掛けると、風が吹いたときに倒れてしまうのでNGです。

草は意外と安定します。周りからもサオがあることがわかりやすければ、これもいいでしょう。

仕掛けを垂らしていない状態であれば、このように置くのもOKです。

しかし、サオを置くための完璧な環境がない場合のほうが多いので、結局はなにか工夫して置くしかないわけです。移動が少なく、魚からのアタリを待つような釣りの場合、こうしたスタンドがあると便利です。

釣り場に着いてからの準備中にやってしまいがちなのが、車のカーブミラーの内側に立て掛けてしまうことです。こうすると、強風が吹いたときにドアが閉まって、サオが挟まれてしまうなんてことも……。カーブミラーは安定するのでつい置きたくなりますが、必ず「外側に」立て掛ける習慣をつけましょう。

堤防や川の下流域にはこうした欄干がある場所も。仕掛けを投げるときに、勢い余ってサオを欄干にぶつけないように気をつけましょう。

リールザオの場合、仕掛けやルアーを穂先に勢いよく巻き込んでしまうと、サオ先やガイドが破損してしまうことがあるので注意です。

サオは、魚が掛かったときの負荷にはけっこう強いです。しかし、当然サオの硬さや長さもさまざまなので、耐えられる負荷も異なります。想定よりも大きな魚が掛かったとき、限界を超えると折れてしまいます。必ず、自分が釣りたい魚に合った硬さのサオを選ぶようにしましょう。

根掛かりを外すときも注意です。サオを曲げて無理に引っ張ると折れてしまうこともあるので、どうしても外れないときは後ろに真っすぐ引っ張るか、図のようになにかに引っ掛けて外すようにしましょう。

サオを持って歩くとき、無意識にサオ先が下がってしまうことがあります。地面にガリガリとこすって折れてしまうこともあるので、必ず立てて持つようにしましょう。

また、少し離れた場所に移動する場合は、サオを畳んでベルトで束ねておけば安心です。

アフターケア、そして折れてしまったら……?

最後に、釣りから帰ったときにしておいたほうがよいアフターケア、そして折れてしまったときはどうすればよいかをご紹介していきます。

当然、サオは水辺で使うものなので、海の場合は潮、淡水の場合でも細かい砂礫など、さまざまなものが付着していることがあります。なので、釣りから帰ったらまずはサオを洗いましょう。水洗いでOKです。

延べザオを例に洗い方を見ていきます。延べザオはサオ先とサオ尻に栓がしてあり、下の栓を抜くと、1本ごとに分解できるようになっています。

1本ずつ水で洗い流していきます。継ぎ目の部分に細かい砂が挟まったままだと、固まって戻せなくなってしまう「固着」という現象に繋がることがあるので、できれば毎釣行後に行なうのが望ましいです。

洗ったら、やさしくふき取ります。そのあと乾かすので、軽くふき取る程度でOKです。力を入れすぎると簡単に折れてしまうので注意。

リールザオの場合も手順は同じですが、延べザオよりもパーツが多いので、細かいところは歯ブラシなどでこすりながら汚れを落とすようにしましょう。

洗い終わったら、直射日光を避けてしっかり乾かしましょう。
洗っても水が残ったまま繋いでしまうと、固着しやすくなってしまいます。固着した場合、無理に戻そうとするのではなく、可能であればそのまま釣具屋さんに持って行くのが無難です。

継ぎザオが固着した場合、ふたり以上いるときは互い違いにサオを持って引っ張ると、簡単に抜けます。

また、濡れたタオルを持って引っ張るというのも方法のひとつです。

ここからはサオが折れてしまったときの対応をご紹介します。
基本的には、買った釣具屋さんに保証書と一緒に持って行き相談するのがよいですが、穂先がちょっとだけ折れた場合は、応急処置的に使えるように修復できることもあります。

まずは、延べザオの先端が折れてしまったケースです。

ノべザオの場合、イトを結ぶためのリリアンがついています。これを折れたところから新たに被せれば使えるようになります。リリアンは単体で販売されているので、緊急用に持っておくとよいでしょう。

まずは、先端にリリアンを1~2cm被せます。

継ぎ目の部分に段差ができてしまうので、ライターで境目あたりを軽く炙って、リリアンを溶かします。直火でやると燃えてしまうので、火の側面で炙りましょう。炙ったら、指の腹で軽く整えます。

継ぎ目の部分に瞬間接着剤を少量落とすと、自然と全体に染み渡ります。これでOKです。

最後にイトを結ぶためのコブを作って終わりです。

リールザオの穂先が折れてしまった場合について見ていきます。

まずはガイドを用意する必要があります。ガイド単体で売っているので、必要な太さのものを用意します。

瞬間接着剤と一緒になった修理キットも販売されています。

折れた部分とぴったりはまればいいのですが、はまらなかった場合、カッターで少しずつ削っていきます。削りすぎないように、ぴったりはまるかをこまめに確認しながら進めましょう。

ぴったりはまるようになったら、瞬間接着剤を少量塗って、ガイドを差しこんで終了です。ほかのガイドと向きが真っすぐになるように注意しましょう。

ご紹介したふたつの方法は、あくまで応急処置的なものです。これを行なった場合、保証が効かなくなってしまうこともあるので、折れたらまずは釣具屋さんに行って相談するのがよいでしょう。