釣りのトラブルシューティング&準備

トラブルシューティング

No. 05

【スピニングリール編】

この連載は「釣りのトラブルシューティング」がテーマ。
今回は「スピニングリール」について説明します。
釣りをする人なら必ず1台は持っていると言っても過言ではないスピニングリール。
使っていると、いつの間にかイトが絡んでいたりすることがあります。
なぜそうなってしまうのか? 絡んでしまったらどう解消すればいいのか?
トラブルを未然に防ぐ方法から学んでいきましょう。

スピニングリールにまつわるトラブル

スピニングリールは、釣りを始めようという人が、まず最初に手にするリールの筆頭に挙げられます。トラブルの対処法や防止策を学ぶために、まずはリールの構造について見ていきましょう。

スピニングリールの構造

これがスピニングリールです。釣りをしない人でも、この形は見たことがあるかもしれません。

イトを巻いておくスプールというパーツです。

スピニングリールの内側です。ギザギザの歯車のようなもの(ギア)と、棒状のパーツ(シャフト)が内蔵されています。

シャフトがスプールの内部と噛み合っており、ハンドルを回すとスプールが回転し、イトが巻き取られるというのがスピニングリールの仕組みです。

ハンドルを回すとリールが回転し、スプールが上下します。実際のようすは動画でもご覧あれ。

半円形のものはベールと呼びます。ベールを起こすとイトが出ていき、返すとイトが出なくなります。

ドラグというパーツです。緩めると魚が引いたときにイトが出やすいようになり、イトが切れるのを防ぐことができます。反対に、締めるとイトが出ないようになります。上級者は、魚の引きに応じて調節をしてやり取りします。

サオに差し込む部分のことをリールフットと呼び、サオにリールをつける部分はリールシートと呼びます。リールシートにはさまざまな形がありますが、基本的な仕組みは同じです。

差し込んだらソールシートを締め込んでいきます。

締め方が緩いとリールがガタガタして、魚が掛かったときに脱落してしまう可能性があるので、しっかりと締め込みましょう。

スピニングリールにはハンドルを逆の向きに回すことができるようになるレバー形状のパーツがついているものもあります。ただし、逆転可能になっていると釣りの最中に勝手にハンドルが逆転して、簡単にイトが緩んで絡まってしまいます。基本的には逆転しないようにしておきましょう。このパーツについては動画の後半でも紹介しています。

ハンドルスクリューキャップというパーツです。ハンドルを固定する部品なので、基本的には締めておきます。緩めるとハンドルを取り外すことができます。右巻き、左巻きを付け替えることもできます。詳しくは動画をご覧あれ。

スピニングリールはらせん状にイトが放出されるのが特徴なので、サオのイトを通す部分(ガイド)が先端に向かって小さくなっています。

こちらはベイトリールというリールです。ベイトリールは、ベイトキャスティングロッドという専用のサオに取り付けます。

なお、以前の記事では、ベイトリールのバックラッシュというトラブルを紹介しています。

写真はベイト用ロッドにスピニングリールを取り付けています。これでも一応使えなくはないのですが……スピニングリールにはスピニング用のサオを合わせたほうがいいです。

正しくイトを巻いてトラブル防止!!

スピニングリールのトラブルといえば、ほとんどがこれです。イトが絡んで、綺麗に巻き取られていない状態です。その原因の多くは、イトが緩んだ状態で巻き取ってしまっているからなんです。

綺麗な状態で使うためには、どんなときでもイトを張った状態で巻き取ることがなによりも重要です。つまり、リールにイトを巻き取る段階から、しっかりと密にイトを巻いていくことが重要になってきます。まずは、リールにイトを巻く方法を見ていきましょう。ちなみにイトは購入した釣具店で巻いてもらうこともできます。とはいえトラブル時など釣り場で巻くこともあるので自分でできたほうが便利です。

スピニングリールにはサイズの大小があります。メーカーにもよりますが、だいたい「1000番、2000番……」という規格になっています。ねらう魚や釣り方によって変わってくるのですが、大きさに対してイトを巻く適切な量があるので注意です。どのリールにも、「このイトの太さならこれくらい巻けます」という目安が書いてあります。これを「最大イト巻き量」と呼びます。だいたい、最大量の7割くらいを目安に巻けばよいでしょう。また、適合するイトの太さもリールの大きさによって異なりますので、必ず確認しましょう。
(例):1号のイトが100m巻けるリールの場合、70mほどで止めておく。

リールにイトを巻く準備です。イトは買ったときにボビン状のものに巻かれていて、真ん中に穴が空いています。そこにペンなど細長いものを貫通させます。

ボビンがしっかり回転するように、ペンなどを足の指で挟みます。このとき、指でボビンをほどよい強さで押さえておくのがコツです。リールは、サオにセットしておきましょう。

イトを出して、サオのいちばんリールに近いガイドの上から通します。

イトの先端をスプールにユニノットで巻き留めます。巻き始めに滑らないよう、結びコブがスプールに密着するように強く締め込みます。ここが緩んでしまうと、イトが浮いてトラブルが起きやすくなってしまいます。

イトを巻く準備が整いました。この体勢でハンドルを回して巻き取っていきます。重要なのは、常にイトを張って巻き取ることです。スピニングリールのトラブルを防ぐ最初の対策なので、しっかりとイトを張って巻き取りましょう。

巻き取るときは、イトが張るように指でイトを保持しておきましょう。指を切ってしまわないように、薄めの布で挟んでもOKです。

充分な量のイトを巻き取ったら、ハサミでカットします。このときも、イトを指で保持して緩まないようにしましょう。この写真はカットしたあとなので、指で持った先のイトはすでに緩んでいます。

余ったイトはラインストッパーに挟んで留めておきます。常にイトが緩まないようにするのが、トラブルを未然に防ぐポイントです。

なぜ、イトが絡まってしまうの?
事例と解消法

それでは、釣り場でイトが絡んでしまった場合、どう対処すればよいのか紹介していきます。

絡み方の一例です。見た目こそさまざまですが、直し方の手順はだいたい同じです。スプールからイトを出していき、絡みを指でほどいたら、巻き取る、という順番になります。

この現象を「ピョン吉」と呼んだりします。イトがピョンッと出てしまっています。

これはほつれたイトをそのまま巻き込んでしまった状態です。仕掛けを投げたときにイトがこの部分に引っ掛かって、綺麗に放出されません。仕掛けの飛距離が出なかったり、イトが傷んでしまうということに繋がります。発見したら早めに対処することがトラブルを最小限に抑えるために重要です。

それでは解消法を順に見ていきます。
まずはベールを返して、絡まった部分をスプールから引き出していきます。

絡まった部分をほどきます。強く引っ張ると硬く結ばれてしまうことがあるので、優しくほぐすようにします。

ほつれが取れたら、イトを指で押さえて張った状態にして巻き取っていきます。

イトが緩んだまま巻き取ると、ほつれがスプールにそのまま巻き込まれてしまいますので、しっかり指で押さえて巻き取りましょう。

ちなみに、ベールを返さなくても、ドラグを緩めれば引っ張るだけでイトが出ていきます。軽度な絡みであれば、この方法でイトを出していってもよいでしょう。

これは少し重症で、緩んだイトがスプールの内部に入り込んでしまった状態です。これを解消するためには、スプールを外すしか方法はありません。

まずはドラグを緩めて外してしまいます。

スプールを外します。シャフトやギア部分にイトが絡まっているので、軽くほぐすようにしてほどいていきます。焦らずゆっくりやれば、解消できるので落ち着いて対処しましょう。スプール、ドラグをもとに戻したら、先ほどと同様にベールを返して絡まった部分を引き出してほどいていきます。絡みが取れたら、イトを張って巻き取りましょう。

なお、イトの緩みをできるだけ起こさないようにする方法として、放出されるイトを手のひらで軽くおさえるというのがあります。とくに風が強い日はイトが暴れやすいので有効です。仕掛けが着水したときにイトの放出を手で止めてしまえば、そこから緩む心配はありません。

どうしても解消できないときはイトを切ってしまいます。ほどけたとしても、一度絡んだイトは強度が落ちているので、重症の場合は切ったほうがいいでしょう。

イトなどのゴミは必ず持ち帰りましょう。イトゴミの出し方は各自治体によって分別方法が違うので、必ず確認するようにしましょう。
(例):東京都→可燃ごみ
神奈川県大磯町→可燃ごみ(30cm以内に裁断)
茨城県神栖市→不燃ごみ

以上がスピニングリールのトラブルシューティングです。毎回違う絡み方をするので決まった方法というものはないのですが、ゆっくり、焦らず対処すればだいたい解消できます。動画でも詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。