釣りはじめていいですか?

エリアトラウト(マスの釣り堀)(静岡県・東山湖フィッシングエリア)

その 9

エリアトラウト(マスの釣り堀)
(静岡県・東山湖フィッシングエリア)

ねらう魚も、釣り方も、場所も数多くあるのが釣りの世界。
釣りってどうやってはじめるのか、テーマごとに学んでいきましょう。
生徒は「釣り堀めぐり」をしている河﨑莉奈さんと、駒澤清華さんです。


左:駒澤清華(こまざわ・きよか)さん。右:河﨑莉奈(かわさき・りな)さん

駒澤清華(こまざわ・きよか)

1997年5月20日生まれ。北海道出身
お父さんが釣り好きで、小学生のときは毎年家族で石狩湾に行ってました。「釣り堀めぐり」で、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョ、モツゴを釣りました。ほかにもハゼ、セイゴを釣ったことがあります。

河﨑莉奈(かわさき・りな)

1996年5月24日生まれ。岡山県出身
小学生のときにおじいちゃんと瀬戸内海の島に釣りに行ってました。「釣り堀めぐり」で都内と東京近郊の釣り堀に行って、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョを釣りました。ほかにもハゼを釣ったことがあります。

▪︎連動動画でもチェック!
https://youtu.be/V5s3aCPYr1w

釣りたい魚はマス類。東山湖フィッシングエリアにはニジマス、ブラウントラウト、カットスロートなどいろいろなマス類が毎週放流されています

◎東山湖フィッシングエリア
電話:0550-82-2161
住所:静岡県御殿場市東山1077
交通:東名高速道路・御殿場IC→R138。御殿場ICからクルマで2分
営業時間:10~11月、3~6月 5:00~20:00
12~2月 6:00~17:00
※夏季(7~9月)は高水温のため休業
料金:1日券5500円(5:00~20:00 ※12~2月は販売しない)
A券5000円(5:00~17:00 ※12~2月6:00~)
B券4500円(12:00~20:00 ※12~2月は販売しない)
午後券4000円(12:00~17:00 ※12~2月、夏季は販売しない)
時間券3500円
※レンタルタックルあり
施設:P250台、売店
ターゲット:ニジマス、ブラウントラウト、カットスロート、ブルックトラウト、イトウなど
ホームページ:http://www.higashiyamako.com/

東山湖フィッシングエリアは農業用のため池だった池を釣り堀として整備してエリアトラウト場として営業しています。写真のエリアはルアーを投げた先で水深1mくらい。その沖に水深2mに下がるカケアガリ(傾斜地)があります。カケアガリは魚を釣りやすいとのことで、今回はここで釣りをしました

桟橋の周りは水深2mくらいのフラットな地形。魚の泳層が変化しやすいので、初心者向きではないとのこと。毎年7月~9月は高水温で魚に適さないので休業期間にして、池の底を干して清掃しています

釣りの準備と
使う道具

 今回の訪ねたのは、マス類の管理釣り場「東山湖フィッシングエリア」です。マス類の管理釣り場は「エリアトラウト」とも呼ばれています。トラウトとは、マス類の魚のこと。日本では一般的にニジマス(レインボートラウト)を意味する場合が多いです。
 東山湖フィッシングエリアにいる魚は、ニジマスをはじめとしたマス類で、釣り方はルアーや、フライフィシングでです。
 河﨑さんと駒澤さんは、事務所で入場券を買って、レンタルタックルを借りました。

入場券は上着など見えやすいところにつけます

レンタルタックルは、長さ165cm~180cmのトラウト用スピニングロッド。軟らかくよく曲がるので軽くて小さなルアーを投げやすく、グリップ(握る部分)が短くて片手で投げやすいという特性があります

リールはスピニングリールを使用。リールのサイズは代表的なメーカーの1000~2000番。レンタル用のリールに巻いてあるイトはナイロン1号で、トラウト用としては太い部類です。リールを持参する場合は、イトをなるべく細くすると小さなアタリを察知しやすいので、ナイロンなら0.6~0.8号、冬はエステルラインの0.3~0.4号がオススメ

●エリアトラウトで使うルアー
スプーン
金属でできたルアー。投げて、止めておくと沈んでいく。リールを巻いて引くとヒラヒラと泳ぐ。大きさ、形、色に多くのバリエーションがあります

重さは3.5gから2gまでを使うことが多い。軽くしたい場合は0.8gを使うこともあります

小型クランクベイト
プラスチック製が多い。ボディーの前にリップという板状のパーツがあり、引くとリップが水を受けて、ボディーをブルブルと振動させながら潜っていきます。止めると浮き上がります。引いたときの水の抵抗が大きいのでイトが張りやすくアタリがわかりやすいです。ハリが前後に2個ついているのでハリ掛りさせやすいのも特徴。引いて潜らせて、止めて上昇させる動きを交互に繰り返すのが基本です

交換用のハリ。エリアトラウトで使うハリは、掛りを重視してハリ先が細い。魚を何尾か釣ったり、根掛かりをして、ハリ先がにぶくなったら新しいハリに交換することが釣果を伸ばすコツです

釣り方の基本

 ルアーを使った釣り方を、スタッフの松尾さんに教わります。まずは、解説をしながら釣り方を見せてもらいました。

①サオ先からルアーが10~20cm垂れ下がるようにする
②サオを握る人差し指の第一関節にイトを掛ける
③リールのベールアームを開く

④後ろに人や障害物(木の枝など)がないことを確かめる
⑤サオを後ろに振って(反らせて)から前に振った瞬間に、人差し指を真っ直ぐにしてイトを外すとルアーが前に飛びます。イトを指から外すタイミングは、何回も投げてコツをつかむ
⑥ルアーが着水したら、そのまま数秒間待って、ルアーをいったん底まで沈める

⑦リールでイトのたるみを巻き取ってイトを張った状態にする
⑧リールのハンドルを2回くらい巻いてルアーを泳がせる(ルアーは上昇する)、次に巻くのを1~2秒止めて沈ませる、2回巻いて1~2秒止めるという動作を繰り返す。スプーンが上昇したあと下降する、この上がって下がる動きの連続が誘いになり魚がルアーを食べる

リールを巻くスピードはどのくらいがよいのでしょうか?

スタッフ松尾さん「リールを巻く速さは、1秒間にハンドルを1回転巻くのが目安です。自分が巻く速さを覚えておいて、アタリがない場合は、それより速くしたり、遅くしたりして違うスピードを試すことが大切です。このとき、イトがたるんでいると魚がルアーを食べてもアタリが手に伝わってきません。糸電話でイトがたるんでいると声が伝わらないのと同じです。イトを張って真っ直ぐにすると、魚がルアーを食べたアタリが伝わってくるし、ハリが掛りやすくなります。イトを張って真っ直ぐにすることが重要です」

アタリとアワセ

魚がルアーを食べるとコツンという小さなアタリが伝わってきます。イトがたるんでいると掛りにくいですが、イトを張って巻き続けると魚の口にハリが掛かります。魚が掛かったら無理に引っ張らずに、ゆっくり引き寄せます

松尾さん「この池には毎週のように魚を放流して多くの魚がいるので、アタリがない場合も、水中ではルアーの近くに魚がいる状態です。ルアーが魚に見られていることをイメージして、いろいろ工夫して試すことが大事です。冬は水温が低いので魚の動きが弱くアタリが小さいですが、春に桜が咲くころは魚の動きが活発なので、アタリが明確に出てハリに掛りやすい(釣りやすい)です」

魚の動きをよく見て、魚の頭側からネットに入れます。魚は頭が向いている方向に泳ぐので、頭の前にネットを入れるとネットに入れやすいです

魚の皮膚の粘膜を傷つけないために、魚は地面には置きません

ネットに入れた状態で、魚の口からハリを外します

魚が入ったネットを沈めて魚をリリースします

魚が弱っていたら、身体をやさしく支えて、自発的に泳ぎ始めるのを待ちます

スプーンで
マス釣りに挑戦

 松尾さんに釣り方を教わったふたりは、さっそくスプーンを投げてみます。使ったスプーンの重さは3.5gです。

サオ先を上げているとルアーがブラブラして、サオ先にルアーやイトが絡みやすい。サオはいつも下に向けておくとトラブルが少ないです

トラウト用ロッドをフルスイングしてスプーンを飛ばす

松尾さん「ルアーを回収したときに底の葉っぱが掛かっている場合は、ルアーを引くスピードが遅すぎて底を引きずっているので、引くスピードを少し速くします。または、スプーンの重さを3.5gから2gにするというように、軽いルアーに交換するのもありです」

ルアーを同じ場所に投げ続けてもよいけれど、アタリがない場合は、投げる場所(着水点)を少しずつ変えてみるのも有効です

スタッフの松尾さんは、次々にヒットさせます。イトを張った状態で、スプーンを引くスピードが魚の活性に合っているとアタリが出やすい(食べられやすい)

魚を何尾か釣ったあとや、ルアーが根掛かりしたあとは、ハリ先が曲がっていたり、鋭さがなくなっていることがあります。そのハリを使い続けると掛かりにくくなり釣果が出ません。新しいハリに交換することが大切です

何かをつかんだ

ときどきコツッとアタリがあるけどハリが掛からない、という河﨑さんに、松尾さんはイトを張って真っ直ぐにすることをアドバイス

イトが張るように巻いたら掛かりました!

30cmくらいのニジマスです

巻くスピードが遅いのか、イトが張っていないのか、苦戦した駒澤さん

引くスピードとイトの張りというコツをつかんだのか、河﨑さんにヒット

カットスロートをキャッチ

松尾さん「スプーンを引くスピード、深さ、動き方が、その日の魚の状態に合っていると、アタリが多く出ます。ちょっとしたことでアタリが出たり出なかったりするので、自分なりに引くスピードなどをいろいろと試して、アタリが出る方法を見つけることも、この釣りの楽しさです」

松尾さん「風が強くなって浅場の水が濁ってきたので、赤くギラつく色のスプーンに交換して水中で目立たせてみました。色は自分の好みのものを使えばいいのですが、その日のヒットカラーを発見できるかもしれないので、途中で何色か試したほうがいいです」

 河﨑さんは釣り方のコツをつかみ、でも、大きな魚をバラしてしまいました。駒澤さんはスプーンの操作に苦戦しました。それぞれ課題を見つけつつも、富士山が見えるきれいな釣り場でエリアトラウトを楽しめたのではないでしょうか。レンタルタックルもあるし、初心者は受け付けで相談すれば、釣り方を教えてもらえるので、友達や家族でエリアトラウトの釣りを楽しんでください。エリアトラウトの釣り場は全国にありますよ。

▪︎連動動画でもチェック!
https://youtu.be/V5s3aCPYr1w