釣りはじめていいですか?

初めてのハゼ釣り

その 16

初めてのハゼ釣り

ねらう魚も、釣り方も、場所も数多くあるのが釣りの世界。
釣りってどうやってはじめるのか、テーマごとに学んでいきましょう。
生徒は高砂ひなたさんです。

左が高砂ひなたさん(たかさご・ひなた)さん。右が今回釣りを教えてくれる、つり人社編集部・部長の八木健介さん

▪ 連動動画でもチェック!
https://youtu.be/UUFCB62UIaQ

今回のテーマはハゼを釣って食べる!

ハゼ釣りは、簡単な仕掛けと手軽なスタイルで楽しむことができます。食べても美味しく、江戸前の天ぷらの食材として欠かせないと言われるほどです。今回はハゼの釣り方はもちろん、食べ方もご紹介します。

今日釣りたい魚はハゼ。内湾や河口の汽水域に生息しています。生まれてから1年で産卵をして一生を終える一年魚です。産卵をせずに1年以上生きる個体をヒネハゼと呼び、20cmを超えるサイズに成長するハゼもいます。砂泥底を好み、底を向いてゴカイやプランクトンなどの底生生物を食べています。夏から秋にかけては、ハゼが浅場で積極的にエサを食べるので誰にでも釣るチャンスがあります。これから釣りを始めたい方におすすめです。天ぷらやから揚げにして食べると美味しいです

今回は東京都江東区の旧中川に来ました。海水と淡水が混じる汽水域です。ハゼは河口だけでなく、汽水域の運河や小河川にも多く生息しています。旧中川は上下流ともに荒川に接続していますが、いずれも水門で閉じてあり潮の干満の影響を受けません。そのため潮周りを気にすることなく釣りをすることができます。中川大橋周辺は河岸が整備されており足場がよく、都営新宿線東大島駅から徒歩5分とアクセスがよい釣り場です。散歩している方も多いので、釣りをする際には周りの方の安全に充分気を付けましょう

◎旧中川・中川大橋
アクセス:都営新宿線・東大島駅小松川口から旧中川の土手を目指して徒歩約5分。車の場合は周辺のコインパーキングを利用

ハゼ釣りにはリールザオを使った投げ釣り、ノベザオ(リールを使わないサオ)を使ったウキ釣りやミャク釣りがありますが、おすすめなのはノベザオを使ったウキ釣りやミャク釣りです。ミャク釣りの仕掛けはシンプルでトラブルが少なく、初めての方でも扱いやすいです。ウキ釣りはウキが沈んでアタリが出るので目で見てアタリを取ることができます。投げザオのように遠くに投げるのではなく、サオの届く範囲で釣りをするので根がかりしにくいのも魅力です

ハゼの居場所

ハゼは基本的には地形変化のある泥底に潜んでいます。底の凹凸や水門周りなど、地形や流れの変化がある場所は、ハゼが食べている底生生物が豊富にいるので、ハゼも集まりやすいポイントです。捨て石や崩れた石のような水底の変化も、ハゼが付きやすくおすすめです。潮位が高くなれば浅場に寄ってきて、潮位が低くなると一段深いところに集まります。干満の差が激しい場所では、水位の変化に合わせてポイントを探りましょう。

ハゼ釣りの道具

ハゼ釣りは非常に気軽に楽しめますが、服装には気を付けましょう。虫刺されや日焼けのことを考えると、長袖・長ズボンが良いでしょう。また夏は水分補給のための飲料水は忘れず用意しましょう。釣りをする際は安全のため、ライフジャケットを着用しましょう。

ミャク釣りやウキ釣りにはノベザオ(リールを使わないサオ)を使います。近場をねらいたい時は1.8~2.7mの振り出しザオで充分ですが、沖めをねらいたい時は3.6~5.3m前後の長ザオも用意できれば安心です。調子は7:3や8:2といった曲がりの先調子のものがアタリを取りやすくおすすめです。今回は沖めもねらいたいので渓流ザオの4.5mと5.3mを使いました

挑戦したミャク釣り(上)とウキ釣りの仕掛け(下)です。ミャク釣りは0.5~1号の中通しのオモリを付けて、ミチイトをハリス止メに結びます。ハリスは5~6cmの長さにします。8~10cmのハゼが多かったので、今回は袖バリの2号を使いました。中通しオモリの仕掛けは、ハゼがエサを食べた時にオモリが動いてくれるので、ハゼの食いこみがよくなるメリットがあります。ウキ釣りはウキが立つようにガン玉の重さを調整します。ウキ下は、水深に合わせてエサが水底に着くような長さにします。ハゼがエサを食べるとウキが沈むのでアタリがわかりやすいです。どちらもよく釣れ、釣具店で購入できます

エサはアオイソメ(上)とジャリメ(中)を使います。虫エサを触るのに抵抗がある方は指サック(下)を着けましょう

エサはチョン掛けにします。タラシ(エサがハリから余分にはみ出てる部分)は1cmあればよいでしょう

その他の持ち物

釣ったハゼを入れるビクを用意します。氷を入れておくと持って帰るまでにハゼが悪くならないのでおすすめです

ハゼ釣り挑戦!
手で取るアタリと目で見るアタリ

まずはミャク釣りにチャレンジします。ミチイトを穂先からサオ尻までの長さにすると、仕掛けが手元にくるので投げたり取り込んだり一連の動作がしやすいです。仕掛けを手にもって振り子のようにして投げたい方向へ振り出します

イトは張らずゆるめずの状態でアタリを待ちます。アタリは手元とサオ先に出ます。仕掛けが着底してから5秒間の間にアタリが出ることが多い傾向があります。反応がないときはサオを5cmほど上げてさそいなおしたり、回収して少し離れた場所に仕掛けを再度入れます。ハゼは密集していることが多く、もしアタリがあったならそのポイントを重点的に探りましょう

ミャク釣りに挑戦する高砂さん。6mほど沖に振り込みます。「プルプルってアタってます!」投げてすぐにアタリが出ますが、ハリ掛かりしません。「今日は食い込みがよくないのですぐアワせずに、アタリが強くなってからアワせましょう」と先生がアドバイスします。アタリがあってもハリに掛からないときはハゼが小さかったり、活性が低い可能性があります。アタリがあった後に張ったイトを少し緩めるとハリを吸い込んでくれることがあります

ハゼは何回もエサを食べてくるので、掛からなかった場合はアタリのあった場所に入れなおします。アワセたい気持ちを抑えて待つと遂に!強いアタリがきました

初めてハゼを釣った高砂さん。「プルプルというアタリのあとに少し強いアタリがきました!」

次はエサ付けにチャレンジです。虫エサを使うのは初めての高砂さんでしたが、自分でアオイソメを付けることができました

少しサイズアップ!自分でつけたアオイソメで10cmのハゼを釣りました

次はウキ釣りにチャレンジです。ウキ釣りはウキを目印に、仕掛けが今どのあたりにあるのかがわかりやすく、ねらいたい場所に仕掛けを入れやすいメリットがあります。風が強くてウキが流されてしまう時や、より小さなアタリを取りたい時は、オモリを調整してウキを2~3cmほど沈ませて使うとよいでしょう。また、ウキ下を調整することができるので、ねらった層にエサを届けることができます。ハゼは底を向いている魚なので、エサが底に着く長さに調節しましょう

仕掛けを8mほど沖に入れると「ツンツン」とウキにアタリが出ました。ウキが沈んだらアワせます

ウキ仕掛けでも釣ることができました。「目で見えるのでわかりやすいです!」と高砂さん。ミャク釣りに比べてアタリの回数が多く、「どうやら今日はウキ釣りの方が合っているのかも」と八木先生

ハリを自分で外しました。高砂さんにとって今日が初めてのハゼ釣りでしたが、エサを付けてから釣ってハリを外すまで、一通りできるようになりました

ハリの外し方はコチラ。ハリの軸をハリ先と逆方向に引き抜きます

合計23尾のハゼを釣った高砂さん。これから釣ったハゼを料理してもらいます!

釣ったハゼはフリーザーバッグに移します。氷と一緒に保冷バッグに入れて持ち帰りましょう

釣ったハゼをから揚げにしてみよう!

塩もみをしてヌメリや汚れを取り除きます

ウロコを引き落とします

胸ビレと腹ビレに沿って頭を切り落とします

腹の皮を切り内臓ごと取り出し水で洗います

塩で下味を付けて片栗粉をまぶし、油で揚げます

完成!「ジューシーでとても美味しいです!」と高砂さん。自分で釣った魚を食べるとより一層美味しいですね。 ハゼ釣りは手軽に楽しめる釣りです。しかも美味しい!皆さんもぜひ挑戦してみてください。

高砂ひなた(たかさご・ひなた)

1998年8月24日生まれ。大阪府出身
中学生のころに家族でニジマスの手づかみをしたことがあります。大人になって八景島シーパラダイスの釣り堀でアジを釣ってから、釣りに興味を持つようになりました。前回の釣りはじめていいですか?ではブラックバスを釣りました。