釣りはじめていいですか?

5分で読める釣り入門(初心者向け)

その 2

釣りザオってどんな種類があるの?
リールを使うと何ができるの?

ねらう魚も、釣り方も、場所も数多くあるのが釣りの世界です。
釣りってどうやってはじめるのか、毎回5分で学んでいきましょう。
生徒は「釣り堀めぐり」をしている河﨑莉奈さんと、駒澤清華さんです。


左:駒澤清華(こまざわ・きよか)さん。右:河﨑莉奈(かわさき・りな)さん。

河﨑莉奈(かわさき・りな)

1996年5月24日生まれ。岡山県出身
小学生のときにおじいちゃんと瀬戸内海の島に釣りに行ってました。「釣り堀めぐり」で都内と東京近郊の釣り堀に行って、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョを釣りました。多摩川の釣りイベントでハゼを釣ったこともあります。

駒澤清華(こまざわ・きよか)

1997年5月20日生まれ。北海道出身
お父さんが釣り好きで、小学生のときは毎年家族で石狩湾に行ってました。「釣り堀めぐり」で、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョ、モツゴを釣りました。多摩川の釣りイベントではハゼを釣りました。

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https://youtu.be/OQX9h0I2adk

釣りザオの役割り

── ふたりは「釣り堀めぐり」をしているときに、どんな釣りザオを使ったことがありますか。

駒澤釣り堀でレンタルしているサオです。短いサオから長いサオまでいろいろでした。

── それは「のべザオ」とか「振り出しザオ」と呼ばれる、シンプルで、もっとも基本的な釣りザオですね。

河﨑レンタルした釣りザオは、はじめからサオの先にイトが結んであって、ウキやハリがついてました。

── イトにウキやハリをつけたものを釣りの仕掛けと言います。もし、釣りザオがなかったとしたら、手でイトを持って釣りをすることになります。真下に魚がいるなら、それでも釣れるかもしれませんが、サオを使うと離れた場所に仕掛けを入れることができます。魚がエサを食べてハリに掛かったときにも、サオがないとイトをたぐり寄せるか、自分が後ろに下がって魚を寄せることになり大変です。サオを使えば、サオが曲がる弾力をいかして、魚を楽に引き寄せることができます。

河﨑としまえんの釣り堀では、リールつきのサオを使って、ルアーを遠くに投げて、ニジマスを釣りました。

── リールという、イトを出し入れする道具をつけた「リールザオ」を使うと、遠く離れた場所に仕掛けを投げることができます。いろいろなタイプの釣りザオがありますが、どのタイプでも、釣りザオの役割りは次のようになります。

  1. 離れた場所に仕掛けを入れる(投げる)。
  2. 仕掛けを操作して魚を誘う。
  3. エサを食べた魚にハリを掛ける。
  4. ハリに掛けた魚を引き寄せる。

── 前回、釣りの種類が多いという話をしました。ねらう魚、場所、釣り方の組み合わせは少なくとも100以上はあります。同じように、釣りザオにも数多くの種類があります。

「釣り堀めぐり」ではレンタルののべザオを使いました

としまえんの釣り堀では、スピニングリールをつけたルアー用の投げザオで、ルアーを投げる釣り方に挑戦。リールを巻いてルアーを引いてニジマスを釣りました

釣りザオの種類

釣りザオは、リールを使わない「のべザオ」とリールを使う「投げザオ(リールザオ)」に分けられます。

●のべザオ
 のべザオには、長いサオの組み立て方によって、振り出しザオと並継ぎザオがあります。

(1)振り出しザオ
 のべザオのなかでもっともポピュラーなのが「振り出しザオ」です。長いサオを、いくつかに分割して収納してあり、使うときに伸ばします。
 たとえば、3mのサオは持ち歩けないので、約1mごとに3つに分割して、それを1本の筒の中に収納するといった具合いです。9mのサオを9本に分割して、1mの長さに収納したものは「9本つなぎで、仕舞い寸法が1m」と呼んだりします。

振り出しザオ
写真は長さ150cmのサオを5分割してコンパクトに収納した振り出しザオ。釣りをするときに伸ばして使います

◆振り出しザオののばし方、しまい方

  1. キャップを外して、指で穂先(サオの先端)を引き出します。
  2. 出が止まったら、指で穂先の根もとをつまみ、逆の手で継ぎ口を握り、しっかり止まるまで引き出す。このとき引っ張りすぎないように注意。
  3. サオ先側のほそい部分から順番に引き出して固定して、サオをのばします。
  4. しまうときは、逆に太い部分から順番に収納していく。穂先をしまうときに、力を入れすぎて穂先を折らないように注意しましょう。

穂先(サオの先端)を引き出します。細いので折らないように慎重に扱います

つなぎ目の両側を引っ張って固定します。強く引きすぎると戻せなくなるので注意

サオ先から順番に伸ばしていきます

(2)並継ぎザオ
 並継ぎザオはサオの各パーツが、グリップのあるパーツに内蔵されていません。ジョイント部分の継ぎ方には、逆並継ぎ、印籠継ぎなどのバリエーションがあります。
 振り出しザオに比べて、持ち運ぶパーツが多くなるが、サオ本来の性能(曲がり具合いなど)が出しやすいです。また、水洗いなどの手入れがしやすいのも特徴です。

並継ぎザオのジョイント部分

◆リールザオ
イトを巻いてあるリールをつけて、仕掛けやルアーを遠くに投げたり、深場まで沈めたりできるサオ。長さ、硬さ、調子のちがう、多種多様なリールザオがある。リールザオにも、振り出しザオと並継ぎザオがあります。

(1)リールザオ(スピニングリール用)
スピニングリールをつけて、仕掛けやルアーを遠くに飛ばすことができます。バスのルアー釣り用、スズキのルアー釣り用、アオリイカのエギング用、シロギスの投げ釣り用など、種類が多いです

シロギスの投げ釣り。砂浜で仕掛けを遠くまで飛ばす

(2)リールザオ(両軸受けリール /ベイトキャスティングリール用)
両軸受けリール (ベイトキャスティングリール)をつけられるサオ。バスのルアー釣り用、コイ釣り用、船釣りではカワハギ、マダイ用など種類が多いです

バス釣りでは、ベイトキャスティングリールを装着したリールザオを使うことが多いです

船釣りではリールザオで真下の深い場所まで仕掛けを沈めたり、巻き上げたりします

(3)フライロッド
フライ(毛バリ)を投げるための専用のサオ。フライで釣る魚の種類は多く、長さ、強さ(パワー)などのバリエーションが多いです。

フライラインを操り、フライを投げるためのフライ専用のサオ

長さ、硬さ、調子、素材

●サオの長さ
 釣りザオの長さは、1.8m,2.1m,2.4m、2.7m,3m、3.3mというように30cm刻みになっています。昔の日本では、長さの単位が1尺=約30cm、が基準だったためです。
 タナゴという数センチの小さな魚を釣るためのサオは、90cmから120cmがポピュラーですが、浅い場所で足もとを探るときは長さ60cmのサオを使う場合もあります。
 アユの友釣りで使うサオは、9m前後の長いものがあります。ねらう魚と釣り方、釣りをする場所に合わせて、サオを選びます。

サオの硬さ(サオのパワー表記)
 長さが3mのサオでも、軟らかくて曲がりやすいサオと、硬くて曲がりにくいサオがあります。サオのパワー(軟らかさや硬さ)には、段階がいくつもあって、ねらう魚の大きさや釣り方によって使い分けます。
 たとえばルアー用のサオは、軽い負荷で曲がる軟らかいものから、硬くなるにつれて、ウルトラライト、ライト、ミディアムライト、ミディアム、ミディアムヘビー、ヘビー、エクストラヘビーといったように、サオのパワー(硬さ)が7段階に分けて表記されます。

サオの「パワー」とは、サオを曲げるのに必要な力(負荷)のこと。ねらう魚と釣り方、釣りをする場所、使う仕掛けやルアーの重さによって、サオに必要なパワー(硬さ)が決まります。ウルトラライトは軽い仕掛けやルアーを使っても曲がりやすいサオ。エクストラヘビーは、重い仕掛け(ルアー)を扱えるサオです。

●サオの調子(サオのアクション)
 サオには曲がり方によって、調子(アクション)があります。
 サオを曲げていったときに、サオ先近くで曲がるものを先調子(ファストアクション)と言います。サオの長さの中間部分で曲がるものを胴調子(スローアクション)と言います。
 ルアー用のサオは、曲がる位置がサオ先に近いものがファストアクション(先調子)、曲がる位置が長さの中間に近いものがスローアクション(胴調子)と呼ばれます。

サオの調子(アクション)は、サオのどの部分で曲がるかで決まります。ファストアクションはサオ先付近で曲がります。ミディアムアクションのサオは、サオの中央付近で曲がります。スローアクションのサオは、サオの長さの中間よりもグリップ側で曲がります。

●サオの素材
 サオは原材料によっていくつかのタイプがあります。

(1)カーボンロッド。カーボンシートを素材にしたサオ。軽くて丈夫で感度がよいため、もっとも普及しています。
(2)グラスロッド。グラス繊維のシートを素材にしたサオ。カーボンロッドが普及する前はグラスロッドが主流でした。カーボンロッドより曲がり方にねばりがあり、掛けた魚をバラシにくいという特徴があります。
(3)竹ザオ=竹で作られたもの。竹を切り出した安いものと、職人技で竹を加工して作った高級品(和竿)があります。

竹を素材にして職人技で作られたサオ

ねらう魚による
釣りザオの実例

 サオには長さ、強さ、曲がり具合い(調子)、素材などの要素があることを学びました。実際にどんな釣りでどんなサオを使うのか、いくつか見てみましょう。
 たとえば、川の河口で岸からハゼ釣りをする場合、いちばんシンプルなのは振り出しザオを使った釣りです。ハゼが少し沖にいる場合は、長さ1.5~2.1mのリールザオを使って、仕掛けを投げて広い範囲を探ります。
 ふたりが今まで釣ってきたコイの場合も、釣り堀ではレンタルののべザオを使っていましたが、野生の大型のコイ(1m級)をねらう場合は、長いリールザオに大型のスピニングリールや両軸受リールを使うのがスタンダードです。
 よくテレビでも夏の風物詩として紹介されるアユの友釣りでは、オトリのアユを泳がせるために、長さ9m前後の専用のサオが使われます。
 途中でふれましたが、タナゴ釣りには1m未満の細いサオが使われることもあります。
 このように、ねらう魚と、場所と釣り方ごとに適したサオがあることを知っておいてください。

リールの役割り

── 釣り堀めぐりをするなかで、リールザオを使ってルアーを投げて、ルアーを泳がせて、ニジマスを釣ったことがあるんですよね。リールを使った釣りはどうでしたか。

駒澤スタッフの方に投げ方を教わって、ルアーを前に投げられるようになりました。リールを使う釣りってやること多くて忙しいかも(笑)。

河﨑ルアー釣りって、独特の釣り感がありました。ルアーを投げて巻くのは難しかったけど、魚が掛かったのはわかりやすいです。そのときはリールを巻くスピードを速めにしたら釣れるようになったんですよ。

── リールを1回でも使ってみると、リールの役割りがわかりますよね。リールには数十メートルのイトが巻いてあって、仕掛けやルアーを遠くに飛ばせます。リールを巻くことで、仕掛けを回収したり、ルアーを魅力的に泳がせたりします。あと、リールを使うと深い場所も探ることができます。魚を探る範囲を一気に広げられる道具がリールです。

リールザオでルアーを投げて、リールを巻いてルアーを泳がせて、ニジマスを釣りました

リールの種類

●スピニングリール
 ビギナーでも扱いやすく、仕掛けを遠くに飛ばすことができる。いろいろな魚種、釣り方に使われている。
 ニジマス用の2~3gの軽いルアーを投げられる小型のものから、シロギス釣りの仕掛けを100m以上飛ばす投げ釣り専用の大型リールまで、ねらう魚と釣り方に合わせて、バリエーションが多いです

スピニングリール。両軸受けリール に比べて細いイト、軽い仕掛け(ルアー)を扱えます

●両軸受けリール (ベイトキャスティングリール)
 構造がシンプルで、イトを巻き取る力が強い。
 小型のものは主にルアー釣りで使われる。投げるときに必要な動作が少ないので、手返しがよく投げる回数を多くできます。投げたときにイトが出過ぎるバックラッシュという現象を防ぐために、各種のブレーキが備わっています。
 大型のものは、強い巻取り力を活かして、大きな魚を引き寄せる釣りで使われます。
 イトを長く巻いておけるので、船に乗って数十メートル以上の深場を探る釣りにも使われています。

両軸受けリール 。太いイト、重い仕掛けを扱えます

●フライリール
 フライ(毛バリ)を投げるためのイト(フライライン)を巻いておくリール

フライリール。フライラインを巻いておきます

●クローズドフェイスリール
 使い方が簡単で、釣り初心者の子どもでも、仕掛けやルアーを飛ばせます。飛距離はスピニングリールに負ける。使われる場面が、スピニングリールやベイトキャスティングリールとかぶるので、現在では使っている人は少ないです

クローズドフェイスリール

サオとリールの組み合わせ
アジ釣りの場合

 ねらう魚が同じでも、場所や釣り方によって、使うサオが違います。リールを使うかどうかもケースバイケースです。具体例として、マアジ釣りのバリエーションを見てみましょう。

●海上釣り堀でアジ釣り
 海上に浮かべたイケスがアジの釣り堀になっています。サオはレンタルの振り出しザオ(長さ2.7m)を使いました。魚が足もとの水中にいるので、リールを使う必要はありません。アジを掛けた振り出しザオが曲がりました。曲がりの頂点がサオ先の近くにある先調子(ファストアクション)のサオです

●乗合船でアジ釣り
 底の水深が14mくらいの場所を探りました。道具はレンタルで、サオは長さ1.6~1.8mの船釣り用のリールザオ。リールは小型の両軸受けリールです。リールを使うことで水深14mまで仕掛けを沈めることができるのです

●海釣り施設の桟橋でアジ釣り
 千葉県市原市の海釣り施設です。道具はレンタルで、サオは長さ2.4mのリールザオ。リールはスピニングリール。桟橋の真下にサビキ仕掛けを沈めて、アジをねらいました

●防波堤でアジ釣り
 長さ5.4m前後の磯釣り用のサオに、スピニングリールをつけて、ウキ釣り仕掛けを海の流れに乗せてアジをねらいました。
 また、長さ5.4mの丈夫な磯釣り用のサオに、スピニングリールをつけて、カゴサビキ仕掛けでアジを釣りました。長いサオとリールを使うことで、広い範囲を探ることができました。

●磯でアジング
 アジ用の軽いルアー(1~3g)を投げるための、長さ1.8~2.1mのアジング用のリールザオを使いました。リールはスピニングリールです。

このように、同じマアジをねらった釣りでも、釣り方や釣りをする場所によって、使うサオの種類や長さが違います。リールを使う場合も、スピニングリールと両軸受けリールを、場所と釣り方によって使い分けるのです。使い終わったサオは水洗いして日陰や室内で乾燥させます。リールは取扱説明書を読んで、水洗いできるものは水洗いして乾燥。ほかのものは説明書のとおりにお手入れをしてくださいね。

駒澤アジ釣りだけで、こんなに釣り方があるんですか!?

河﨑同じアジ釣りなのに、使うサオがぜんぜん違いますね。

── ほかの魚種にも場所や釣り方によってサオとリールの組み合わせにバリエーションがあります。考えすぎると、釣りのハードルが高くなってしまうので、釣りたいな~と思う魚を決めたら、なるべくシンプルな釣りから始めるのがオススメです。

▪︎連動動画でもチェック!
https://youtu.be/OQX9h0I2adk