釣りはじめていいですか?

5分で読める釣り入門(初心者向け)

その 13

初めてのテナガエビ釣り
(神奈川県・多摩川下流域)

ねらう魚も、釣り方も、場所も数多くあるのが釣りの世界。
釣りってどうやってはじめるのか、テーマごとに学んでいきましょう。
生徒は「釣り堀めぐり」をしている河﨑莉奈さんと、駒澤清華さんです。


左:河﨑莉奈(かわさき・りな)さん、右:駒澤清華(こまざわ・きよか)さん

 
◆釣り用語の解説はこちら!

釣りを教えてくれるのは、つり人社「月刊つり人」編集部の八木健介さん(右)

▪ 連動動画でもチェック!
https://www.youtube.com/watch?v=X_wSRSdsL30&feature=youtu.be

釣りたいのはテナガエビ。梅雨を最盛期に河川の下流部(汽水域)でウキ釣りやミャク釣りでねらうことができます。名前の由来にもなっている長い手が特徴。正確には手(第二歩脚)が長くなるのはオスで、メスの手は小ぶりです。テナガエビは川で生まれ、一度海にくだって稚エビになり、それから再び川を遡って来る両側回遊という生活史を持っています。東京周辺では昔から人気の釣りターゲットでしたが、最近は他のエリアでも注目されるようになっています

今回は神奈川県川崎市の多摩川下流部に来ました。対岸側は東京都大田区です。川の汽水域は潮汐の影響を受けるので、このあたりの水位も時間によって変わります。 気象庁のホームページで全国の潮位(潮位表リンクはこちら)が確認できるので、 釣りに行く前に確認するといいです。スマホ用の無料アプリも沢山あるので、自分に合うアプリを使うのもお勧めです。 テナガエビの中には、霞ケ浦や諏訪湖など、完全な淡水域に適応して暮らしているものもいるのですが、基本的にはこうした水位変動のある川の下流部に棲息しています。
◎多摩川下流部(川崎市側)
アクセス:京浜急行電鉄大師線・港町駅から多摩川の土手を目指して徒歩5分。車の場合は周辺のコインパーキングを利用

テナガエビ釣りの道具

テナガエビ釣りは非常に気軽に楽しめます。運動靴を履いていれば、あとは散歩に出かけるような服装でも大丈夫。ただし、虫刺されや日焼けのことを考えると、長袖・長ズボンのほうがベターです。また、川原は開けて日差しを遮るものがないので、帽子は被って水分補給のための飲料水は忘れずに用意しましょう。釣りをする際は安全のため、ライフジャケットも着用しましょう。

テナガ釣りの道具一式はこのような感じ。手前に並べているエサ、仕掛け、サオなどは、すべて後ろのバッグ(釣り用の丸型バッカンを流用)に収まります。あとは釣ったテナガエビを持ち帰るための小型クーラー(もしくはフタ付きのバケツ)があればOK。荷物がコンパクトなので電車釣行も難しくありません

サオはノベザオを使います。釣り場にもよりますが、まずは1.5~1.8mほどの長さの万能ザオがおすすめです

仕掛けは大きく分けて「ウキ仕掛け(左)」と「シモリ仕掛け(右)」があります。釣具店で購入できどちらでも釣れます。ウキ仕掛けは小型の玉ウキが1つ付いたシンプルな構造。シモリ仕掛けは玉ウキの代わりに2~4個の目印(シモリ)が付いています

エサはアカムシを使います。釣りをする日に釣具店で購入しましょう。濡れた新聞紙にくるんで渡されるので、あらかじめエサケースを用意しておくのがおすすめです

釣れたテナガエビは、釣りをしている間、生かしておくのが一番の方法です。酸欠になるとエビが弱って死んでしまうので、できれば小型のエアポンプ(ブク)を用意しましょう。エアポンプがない場合は、水を定期的に交換してやります。クーラーボックスは今回使ったハードタイプのほかに、値段が手ごろなソフトタイプも釣具店で販売しています

釣りが終わったら、最後に水を切って食品用の保存袋に入れ、身が傷まないように保冷剤で冷やして持ち帰ります。生かしたまま持ち帰ってもOKで、その場合は自宅で生きたテナガエビを料理酒に入れて締めてから調理します。

テナガエビの居場所

テナガエビが好きなのは、河川の下流部にある「物陰(ものかげ)」です。具体的には「岸寄りの捨て石の間」「消波ブロックなどの隙間」「沈んだ杭の陰」などにいます。そうした物陰に仕掛けを入れると、隠れていたテナガエビがエサの匂いにつられて出てきます。そして、素早くエサを捕まえると、自分が元いた場所まで引っ張っていってから口に入れようとします。つまり、釣りはまず「テナガエビがいそうな場所」を見つけることから始めます。干潮の時には水が干上がって釣り場にならない場所でも、潮が満ちてきて水中に没するとテナガエビのポイントになります。そうした時間による水位の変化も含めて「今釣れそうな場所」を探します。

この日に最初にテナガエビを探したポイント。右側の護岸の一部が崩れており、さらチョコレート型の護岸が水中に伸びて所々に陰を作っています。それらの場所はテナガエビがいる可能性があります

こうした「捨て石」がまとまって入っている場所も好ポイント。石の下や石と石の隙間にテナガエビが入ります

少し浅いですが、チョコレート型の護岸が沈んだ先に適度な深さのある物陰が出来ています

こちらは大阪の淀川のテナガエビポイント。崩れた石がたくさんあります

茨城県の霞ケ浦のテナガエビ釣り場。足場のよい護岸の前に消波ブロックが並んでいて、その隙間がテナガエビの隠れ家です

多摩川で最初のポイントの次にねらった消波ブロック帯。ブロックとブロックの隙間はやはりテナガエビが好んで隠れる場所です。ただし、形が複雑な消波ブロックの上に直接乗るのは危険なのでやめましょう

消波ブロックの隙間をねらう場合、深すぎる場所はあまり釣れません。深い場所をねらう場合でも、ウキ下は30~40㎝くらいまでにしておき、その状態で仕掛けを入れて、ウキが見える範囲までの深さでねらってみます

テナガエビ釣りに挑戦!
水面下に漂うウキの動きを観察

この日はお昼が干潮で夕方に向けて徐々に水位が上がる潮周り。仕掛けをセットしたら、午後2時頃からまずは比較的足場のよい斜面になった護岸の周囲で釣りを開始しました

ウキ下の長さは、ねらう場所の水深より少し浅め(=オモリが底に着くとウキが水面下に沈んだ状態になる)にします。市販されているテナガエビの仕掛けは、あらかじめウキより少し重めのオモリが付いています

エサのアカムシはハリに〝チョン掛け〟します。たくさん付けるのは意外に難しいので、まずは1匹または2匹を付けてみましょう。アカムシの体液が抜けて赤色が薄くなったら新しいものに交換します。体液の匂いでテナガエビが反応するので、古いエサでねらい続けるのはNGです

「テナガエビがいそうだ!」と思う隙間を探して、エサの付いた仕掛けを入れていきます。こちらは護岸の端に見つけた暗い隙間に仕掛けを入れている駒澤さん

ウキ下の長さが合っているとこのような状態になります。あとはここにテナガエビエがいれば、ウキが「スーッ」と横に滑るような動きをしたり、フラフラと揺れるような動きをします。そうなればチャンス。この「いるかな? いないかな?」と仕掛けを入れるたびにドキドキする感覚が、テナガエビ釣りの大きなお楽しみです

「やりました~!」とうれしい1匹目を手にした駒澤さん。水面下のウキが、なんとなくモゾモゾッと動いたように見えたあと、数秒待ってサオを持ちあげると「クン、クン」という手応えが伝わってきました。こちらは手が短いメスです

「これ何ですか!」という河﨑さんが釣りあげたのはハゼの仲間のチチブ。テナガエビと同じ場所を好み、アカムシにも盛んに食い付いてくる手ごわいゲストフィッシュです

八木さんの仕掛けにヒットしたのは立派なオス。手の平に乗り切らないほどのザリガニのような大ものでした

ハリはこのようにテナガエビの口にしっかり掛かります。外す時に乱暴に引っ張るとエビの口が切れて弱ってしまうので、ていねいに手で外すか、あらかじめピンセットを用意しておくと万全です

テナガエビの釣り場は水位がどんどん変わるので、反応がなければ1ヵ所で粘らず、ちょうどよい深さになっていそうな物陰を次々に探して仕掛けを入れていきます。夕方前は消波ブロックの隙間も積極的にねらってみました。

「この動きは怪しい……」と気配を察知した駒澤さん、ついに手の長いオスが来ました!

ハリに掛かったテナガエビは、特有のキックバックで抵抗するのでやりとりの最中もスリリング。魚とは違った引きで楽しませてくれます

食べても美味しいテナガエビ!

この日は釣ったテナガエビを川沿いのカフェに持ち込み、特別に調理してもらいました。テナガエビは料理もとても簡単。まずは水道水に食塩を入れた塩水で軽く洗い、表面の汚れを落としたら、よく水気を切ってから食用油やオリーブオイルで色が変わるまで素揚げにします。軽く塩を振ってかぶりつけば、ジューシーで旨味の濃いとびきりのおやつの完成。詳しいもようはぜひ動画をご覧ください!

河﨑莉奈(かわさき・りな)

1996年5月24日生まれ。岡山県出身
小学生のときにおじいちゃんと瀬戸内海の島に釣りに行ってました。「釣り堀めぐり」で都内と東京近郊の釣り堀に行って、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョを釣りました。ほかにもハゼを釣ったことがあります。

駒澤清華(こまざわ・きよか)

1997年5月20日生まれ。北海道出身
お父さんが釣り好きで、小学生のときは毎年家族で石狩湾に行ってました。「釣り堀めぐり」で、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョ、モツゴを釣りました。ほかにもハゼ、セイゴを釣ったことがあります。