釣りはじめていいですか?

初めての川・用水路のフナ釣り

その 17

初めての川・用水路のフナ釣り

ねらう魚も、釣り方も、場所も数多くあるのが釣りの世界。
釣りってどうやってはじめるのか、テーマごとに学んでいきましょう。
生徒は駒澤清華さんと高砂ひなたさんです

中央が駒澤清華(こまざわ・きよか)さん、右が高砂ひなたさん(たかさご・ひなた)さん。左が今回釣りを教えてくれる、つり人社編集部・部長の八木健介さん。

▪ 連動動画でもチェック!
https://youtu.be/OiYdTp8drkQ

フナ、クチボソ、モロコ、タナゴ……
小さい幸せを集めよう!

今回は全国の川や水路で楽しめる「フナ釣り」にチャレンジ。フナ以外にもさまざまな小さな魚たちがねらえます。リールを使わない「ノベザオ」にウキ釣り仕掛けを合わせて、小さなハリにアカムシや練りエサを付けて3~10cmのかわいらしい魚をねらう釣りです。

ねらえる魚はフナやクチボソ、ホンモロコ、タナゴなど。季節によって釣れる魚が変わりますが、一年中楽しめる釣りです。

「釣りはフナに始まり、フナに終わる」という格言があります。釣り人は子どものころに最も身近なフナを相手に釣りの楽しさを知り、大人になり行動範囲が広がると、海や渓流に足を運ぶようになります。そして、歳をとり遠くに出かけるのが難しくなってくると、また身近な小川でフナ釣りを楽しむというわけです。人生の序盤と終盤で二度フナ釣りの魅力を知るということですね。この格言で言われる「釣り」がまさに今回の釣り。フナに限らず、家の近所を流れる小川や水路のウキ釣りは、釣りの原風景といえるものなのです。

田んぼの脇を流れるこうした用水路に実はいろいろな魚がいます。時には幅30cmほどの水路でも釣りが楽しめます

用水路だけでなく、小川や、写真のような比較的規模の大きな河川(写真は茨城県西谷田川)も小もの釣りが楽しめます

田園風景を眺めながら魚と遊ぶ釣り。ほっこりしますよ!

【ウキの小もの釣りで登場する魚たち】

フナ
全国の淡水に生息するフナ。最大で30cmを超える魚ですが、小もの釣りでねらうのは「柿の種」と呼ばれる3cm前後から10cmくらいまでの小ブナ。9月後半から11月いっぱいまでが一番釣りやすい季節です

コイ
最大で1mを超えるコイですが、幼~若魚は用水路や小川で暮らしています。こうした小コイもよく釣れます

クチボソ
全国の河川や湖沼、水路に生息。標準和名はモツゴ。大きさは8~11cm。ウキを元気に引っ張ってくれるのが特徴です

モロコ
クチボソと並んで小もの釣りでよく釣れるコイ科の魚。ホンモロコ、タモロコなど、種類はさらに細かく分けられます。種類にもよりますが最大で14cmほど

タナゴ
宝石のように美しいのがタナゴ。写真のカネヒラやアブラボテ、タイリクバラタナゴなどさまざまな種類が全国の用水路や小川に生息しています。飼育魚としても人気です

ツチフキ
ツチフキやヌマチチブなど底棲の魚も小もの釣りで混じります。これらの魚が釣れれば「エサが底についている」と判断していいでしょう

フナの釣りの仕掛け

フナ釣りの道具はとてもシンプル。サオ(リールなし)、イト、ウキ、オモリ、ハリという構成です。

サオと小物入れ、エサ箱というシンプルな道具があればフナ釣りは楽しめます

サオは1.5~2.4m前後のものでOK。川の小もの釣り全般に幅広く使える振り出しザオ(短く仕舞われていて、使うときだけ伸ばすもの)が釣具店で販売されています。基本的には足もとの周りに仕掛けを落とすので、短いもので問題ありません

仕掛けは市販の完成仕掛けがオススメ。ハリまで付いているので、サオの先に結ぶだけで使用できます。5cmまでの魚をメインにねらうのであれば、「タナゴ用」(左)のものがオススメ。口が小さいタナゴ用のハリが付いているので、小さい魚も掛かりやすいのが特徴です。ウキも小さく、繊細なアタリ(魚がエサをつついたサイン)も察知しやすいです。ただし、ハリは細くイトも細いので、20cmを超えるフナなどが掛かると上げられる確率が下がってしまいます。どんな魚が釣れるかわからなければ、「川釣り」(右)などと書かれたオールマイティーな仕掛けもあります。中央はフナ釣り用の仕掛けです。ハリを別に用意しておく場合、「秋田キツネ」や「袖」の1~2.5号やタナゴ用の「半月」「新半月」を用意していくといいでしょう。ハリス付きのものを買っておき、ハリス止めの先から交換するのがオススメです

ウキ。イトにゴム管を通し、そこに刺すようなかたちでウキを付けます

細長いタイプ(トウガラシウキ)は小さなアタリにも反応しやすいですが、風に弱いです。穏やかな日に使いましょう

丸っこい玉ウキは風や流れがあっても安定感があって使いやすいです。風が強い日はこちらがオススメ!

◆ウキとオモリの役割はこちらでさらに詳しくわかります!

仕掛け。「ミチイト⇒ウキ⇒オモリ⇒ハリス止め⇒ハリス⇒ハリ」という構造になっています

この日はフナを釣るためにアカムシを使いました。釣具店で購入可能です。ハリ先でチョンと刺して付けます

アカムシは写真のようにハリにチョンと刺します。ハリ先は出しておきましょう

たくさんの種類の魚が釣れる場所は?

仕掛けをセットしたらさっそく釣り開始。茨城県・北浦の脇を流れる水路でスタートしました。さぁ、何が釣れるのでしょうか?

まずは八木先生が様子見がてら仕掛けを入れると……

さっそく釣れました!
5cmほどのフナです。駒澤さんと高砂さんがコツを聞いてみると……?

仕掛けを入れるのは水路のど真ん中よりも、隅や、写真のような出っ張りの脇などが有望です。変化がある場所に小魚も多いからです。同じ理由で、浮草があったり、水路と水路の合流点になっていたりする場所も有望です

行き止まりに見えますが、水中にはトンネルがあって水路が続いています。こうした場所も魚が多いです。とはいえ、魚はいたるところにいるので、難しく考えずにまず仕掛けを入れてみるのも手。ウキが動かなければ次々と移動すればいいのです

ねらう場所が決まったらウキ下を決めましょう。小フナや小コイをねらうのであれば、エサが底近くにくるようにするのが基本です。タナゴやクチボソは水面近く~中層でエサをつつくことも多いです。水深が分からない場合、最初は50cmのウキ下(ウキ~ハリの距離)からはじめて徐々に長くしたり、いろいろな長さを試してみましょう

ウキが水面で寝てしまったり、斜めになるときはウキ下(ウキ~ハリの距離)が長すぎる合図。ウキが立つまで、徐々に短くしていきましょう

魚がエサを口に入れて動くとウキがこのように沈みます。サオを立てて魚を上げましょう

水面で暴れる魚を愛でながらゆっくり楽しむのもいいですよ

八木先生のお手本を見て駒澤さんと高砂さんも釣り開始。幅1mほどの水路を3人でねらいます。「ねらい目は岸や障害物の際です。ウキ下はエサが底ギリギリにくるくらいにしてみてください」と八木先生

エサのアカムシを付けるのが最初のハードル。触ることに慣れさえすればチョンと刺すだけなので簡単です!

「ウキが沈んでから1秒たって合わせる」というリズムで釣っていた高砂さんは幸先よくフナを掛けていきます

ウキ下が浅すぎるとモロコなど他の魚が掛かりやすかったですが、底近くをねらうとフナの確率が高かったです。駒澤さんも大きなフナをキャッチ

この日は白サシ(ハエの幼虫。釣具店で購入可能)も使いましたが、アカムシへの反応が明らかによかったです。交互に使ってみることでようすを見てみましょう

5~10cmのフナを水槽に入れて愛でる駒澤さん。このあと元いた水路に逃がしました

7種類も釣れた!

 茨城県・北浦の水路でフナ釣りを楽しんだふたり。別の日には、牛久沼の西谷田川のそばを流れる水路で小物釣りを楽しみました。この日はたくさんの種類の魚を釣ることが目的です。「今日の目標は『5種類の魚を釣ること』にしましょう!」と八木先生。

高砂さんにもすぐにモロコが釣れました! 「こんなに小さな魚でも、ウキを元気よく引っ張るのでびっくりしました」と高砂さん

ここでは駒澤さんが絶好調! エサが底を這うようにウキ下を設定してヌマチチブを釣り……

テナガエビもゲット!

「底の魚はもう充分!」とウキ下を一気に短くした駒澤さん。中層を釣るとカネヒラが釣れました! タナゴの仲間で宝石のように美しいことで知られます

西谷田川は駒澤劇場でした。カネヒラ、コイ、ヌマチチブ、クチボソ、モロコ、ツチフキ、テナガエビと7種類の魚(エビ)をゲット! しばらく水槽を眺めてうっとりな駒澤さんでした

ウキで小ものをねらう釣りは全国の水路や小川で楽しめます。身近な水辺に溶け込む1日をすごしてみてはいかがでしょう?

駒澤清華(こまざわ・きよか)

1997年5月20日生まれ。北海道出身
お父さんが釣り好きで、小学生のときは毎年家族で石狩湾に行ってました。「釣り堀めぐり」で、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョ、モツゴを釣りました。ほかにもハゼ、セイゴを釣ったことがあります。

高砂ひなた(たかさご・ひなた)

1998年8月24日生まれ。大阪府出身
中学生のころに家族でニジマスの手づかみをしたことがあります。大人になって八景島シーパラダイスの釣り堀でアジを釣ってから、釣りに興味を持つようになりました。前回の釣りはじめていいですか?ではブラックバスを釣りました。