ルアー釣りはじめます!

5分で読める釣り入門

No. 08

実践! 砂浜から大遠投!
スピンテールジグでねらうヒラメ・マゴチ

ねらう魚も、釣り方も、場所も数多くあるのが釣りの世界。
この連載のテーマは「ルアー釣り」!
今回はスピンテールジグという疑似餌を使って砂浜からヒラメ・マゴチをねらいます。
高砂ひなたさん、駒澤清華さんのふたりが挑戦します!

中央が駒澤清華さん、左が高砂ひなたさん、右が今回の釣りを解説してくれる、つり人社編集部・Basser編集長の佐々木徹さん。

「釣り方と必要な道具の扱い方」は連動動画でチェック!

スピンテールジグってどんなルアー?

スピンテールジグは長い距離を投げるためによく使われるルアーです。おもに鉛でできた小魚の形をしたボディーに、ブレードと呼ばれる薄い金属がついています。
ブレードは、着水してルアーが底に落ちていくときや、リールを巻いてくるときに回転して、キラキラと小魚が群れているかのようなきらめきを発します。
小さくて重たく、遠くまで飛ばせるのが強みです。

同じように遠投できるルアーとしてはメタルジグ、メタルバイブレーションなどがあり、これらも遠投できるので、砂浜のような広範囲を探るのに適しています。

スピンテールジグのいちばんの特徴は、ブレード金属の板がついていることです。投げて、ルアーを巻くだけでブレードが回転します。 リールを巻かなくても、底に沈んでいくときに勝手に回転してくれるので、より魚に気づかせやすいというメリットがあります。 釣り人側の操作がいらないので、初心者でも簡単に使うことができるルアーです。

重さは10~20g前後が一般的です。浅いところをねらう場合は軽めにして、深くなるにつれて重いものを使います。

◆ルアーについてはこちらをチェック!
●「ルアー釣りはじめます! No.1 はじめてのルアー釣り ―ルアーってなんだろう―」

ヒラメ・マゴチってどんな魚?

ヒラメは北海道から九州南部まで幅広く生息します。沿岸部の砂底に潜んで小魚を捕食し、最大で1m前後にまで成長します。食べても美味しく、スーパーでも手に入るので食卓に並ぶことも多い魚です。「ヒラメの縁側が大好きなので、大きなヒラメを釣って食べてみたいです!」と駒澤さんもやる気満々。

「ヒラメってじっとしているイメージがあるんですが、ルアーで釣れるんですか?」と高砂さん。 たしかに砂底に隠れてあまり動かない印象がありますが、実は小魚を追ってアグレッシブに泳ぐこともあるので、ルアー釣りのターゲットとしてはとても人気の高い魚です。 佐々木さんがヒラメのぬいぐるみを使って、スピンテールジグでのねらいかたについて解説します。 「ヒラメは底にべたっとしているから、その少し上をルアーで巻いてくるイメージだよ。ルアーに気づいたヒラメがバクッと食いついてくるよ」

ちなみにヒラメとカレイの見分け方は、正面から見たときに目が左についているのがヒラメ、右についているのがカレイです。「左ヒラメの右カレイ」と覚えましょう。

マゴチも砂底に潜んで小魚を食べる魚です。最大で60cmほどまで成長し、強い引きが味わえることから、こちらもルアーでねらう魚として人気です。

実践! 砂浜からスピンテールジグでヒラメをねらってみよう!

実際の釣り場でスピンテールジグを使ってヒラメ釣りに挑戦です。砂浜から遠投して、ねらいの魚にたどり着くことができるでしょうか?

今回の釣り場は千葉県富津市の「新舞子海岸」。 駐車スペースもポイントから近く、簡単にエントリーできます。夏は海水浴客でにぎわう場所でもあるので、トイレもあります。美味しいコーヒーが楽しめる「テラス プサラス」で休憩にも困りません。

砂浜は釣り人だけでなく、近隣の住民も利用します。 投げる前に後ろを確認することはもちろん、慣れないうちは思わぬ方向にルアーが飛んでしまうこともあるので、周囲との距離をしっかり保ってルアーを投げましょう。

◆ルアー釣りのマナーはこちらをご覧ください
●「釣りはじめてサポート 釣り場のマナー:ルアー釣り編」

※釣りをするときは安全面や暑さ、寒さ対策のために帽子を被りましょう。また、ライフジャケットの着用も忘れずに。

サオは、ミディアムパワーのスピニングロッドが適しています。 長さは3mくらいあると遠くまでルアーを飛ばすことができますが、長いサオの扱いに慣れていない初心者の方は2.5mくらいのものでも充分です。 リールは3000番に、PEラインという強度の強いイトを使用します。 太さは1号前後でよいでしょう。魚が掛かったときの衝撃を吸収するために、PEラインの先端にはフロロカーボンの4号を結びます(ショック吸収のためにPEラインの先端に結ぶイトのことを「リーダー」といいます)。

◆リーダーの結び方はこちらの動画をご覧ください。
●FGノット(結び方に少し慣れが必要ですが、強度が出やすくオススメの結び方です)
●電車結び(簡単に結べるので、FGノットが難しい方は電車結びを使ってください)

トゲに毒を持つ魚や、鋭利な歯をしている魚もいるので、魚が釣れたらフィッシュグリップで口を持つようにしましょう。

これまであまり遠くまで投げる釣りはしてこなかったふたり。まずは遠投に苦戦です。「なかなか遠くまで飛ばないです~」と高砂さん。 できるだけ広い範囲を探りたいので、30mは飛ばしたいところ。 「そんなに強くサオを振らなくてもいいから、指を離すタイミングをもう少し遅くすると、しっかり前に飛んでいくようになるよ。ルアーの重さがあるから、それだけでも充分距離を飛ばせるよ」と佐々木さんからのアドバイス。

佐々木さんの模範演技にふたりから「おお~」と歓声が上がります。

駒澤さんは、飛距離は出ているように見えますが、なかなか真っすぐ飛んでいきません。 これだと砂浜の浅いところしか探れないので、釣れる確率が落ちてしまいます。「サオを真っすぐ振り下ろすようにすると、真っすぐ飛んでいくよ。剣道の“面~!”のイメージかな」と佐々木さん。

徐々にキャストにも慣れてきたふたり。「ルアーの重みがあるので、慣れれば遠くまで飛ばせますね!」と駒澤さん。30m近くは投げられるようになってきました。

投げたら巻いてくるだけでOK。ヒラメやマゴチの頭上50cmくらいにルアーを泳がせるイメージで、“プルプル”というルアーの振動を感じながら巻いてきます。

ブレードとイトが絡んでしまったらルアーがしっかり泳ぎません。投げる前に絡みがないか必ず確認しましょう。

砂浜を移動しながら探っていきます。新舞子海岸は、沖に向かって突堤が伸びているところがあります。より遠く、深いところも探ることができるので、入れ替わり立ち代わり、ルアーを投げる釣り人が立っているようすです。 ※自分が釣りをしたいスポットがあっても、先に人がいたらその人が優先です。割り込んでルアーをキャストしたりしないようにしましょう。
「底から少し上を巻いてくるのが、なかなかイメージしづらくて難しいです~」とふたり。これは釣りに慣れた人でも簡単ではありません。 ルアーが砂底に当たっているなと感じたら、もう少し軽いルアーに変えるか、サオを立ててリールを巻くようにするとよいでしょう。

突堤で釣りをしていた佐々木さんに、マゴチが追ってきたとのこと!

近くで釣りをしていた人がマゴチを釣りあげていました。期待も高まります!

お昼休憩をはさんだ午後、上空を飛んでいた鳥たちが海面に急降下して、ふたりの目の前で小魚を捕食しはじめました。こんなときは大チャンス!  水の中でもヒラメをはじめとする大型の肉食魚が小魚を活発に追い回している可能性が高いです。「すごい! こんなに目の前で!」とふたりも興奮気味です。

3人で移動しながらとにかくキャストを繰り返します。広範囲を根気強く探り続けることが、なによりの近道です。

しかし、この日は魚に巡り合えませんでした……残念! 駒澤さんは「釣れなかったですけど、ルアーが真っすぐ遠くに飛んでいったときは気持ちいいですね!」と、はやくもこの釣りの魅力の一端を体験できたようです。 「普段海水浴とかをやるような場所でヒラメが釣れると知り驚きました! また挑戦したいですね」と高砂さんも振り返りました。

後日再アタックした佐々木さん、見事ヒラメをキャッチ!

「釣らせてやれなかった、そしてなにより自分も釣れなかったことが悔しすぎて……再度、来ちゃいました!」と佐々木さん。1日粘り続け、見事ヒラメを釣りあげました!

釣れたのは夕方、残り1時間で日没というタイミングでした。1日ルアーを投げ続けてのこの1尾は、言葉にできないほどの嬉しさがありますね。
「人生で釣ったヒラメで一番小さいですけど一番嬉しいです。釣りの喜びって時価なんですよね。釣りのそんなところが大好きです」と佐々木さん。

午前中となりで釣りをしていた方も、ヒラメを1尾釣りあげていました。ルアーもスピンテールジグだったので、佐々木さんの期待も高まっていたようです。

この日はそのほかにもさまざまな魚が釣れました。上からボラ、スズキ、シタビラメ、エイ、クサフグ。 新舞子海岸に流れ込む川の河口部分の突堤で釣りをしていましたが、このような場所にはいろんな魚が集まってくることがわかりました。

※エイの尾には毒があるので、釣れたらフィッシュグリップを使うなど取り扱いには気をつけましょう。また、フグは素人が捌いて喫食し、中毒を起こしやすい魚です。持ち帰らずにリリースしましょう。

釣り場紹介
◆新舞子海岸
住所 〒293-0056 千葉県富津市八幡
交通 館山自動車道・富津中央ICから車で約10分

駒澤清華(こまざわ・きよか)

1997年5月20日生まれ。北海道出身
お父さんが釣り好きで、小学生のときは毎年家族で石狩湾に行ってました。「釣り堀めぐり」で、ブラックバス、コイ、ホンモロコ、テナガエビ、ニジマス、キンギョ、モツゴを釣りました。ほかにもハゼ、セイゴ、ブルーギルを釣ったことがあります。

高砂ひなた(たかさご・ひなた)

1998年8月24日生まれ。大阪府出身
中学生のころに家族でニジマスの手づかみをしたことがあります。大人になって八景島シーパラダイスの釣り堀でアジを釣ってから、釣りに興味を持つようになりました。前回のルアー釣りはじめます!ではミノーでニジマスを釣りました。