釣り遊び
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清流の管理釣り場で ニジマス釣り【特別編】
芥川(あくたがわ)清・渓流魚釣り場(大阪府高槻市)
芥川(あくたがわ)清・渓流魚釣り場(大阪府高槻市)
【フィールド別 釣りの準備
~アーバンフィッシング/下流域編~】
この連載は釣りの準備がテーマ。
準備といっても、釣り方や釣り場によって
用意するものは様々です。何を持っていけばいいんだろう?
という準備の疑問を解決。必需品からお助けアイテムまで、あなたの釣りをサポートします。
今回のテーマは「下流域の釣り」です。
実は、都心部を流れる身近な川でも、様々な釣りが楽しめます。食べて美味しい魚や、意外な大物もねらえるかも?
それではいってみましょう!
下流域の釣りを楽しむために準備するものリスト
服・小物
釣具
川の下流域で、海水と淡水が入り混じったエリアのことを、「汽水域」と呼びます。汽水域は植物プランクトンが多いことから、それらを食べる甲殻類や小魚が棲息するのに適した環境になっています。小さな生きものが多いということは、それらを捕食する大型の魚たちも棲息するのに適した環境というわけです。
プランクトンを捕食するボラの群れです。流れの弱い岸際では、まだ速く泳げない稚魚の段階から群れをつくって生活します。ボラに限らず、汽水域は小さな魚たちの格好のエサ場となっています。
潮の満ち引きによって形成される干潟は甲殻類などの棲み処となり、魚のエサとなる多種多様な生きものが棲息しています。
浅いところは太陽の光も届きやすく、底が泥になっていれば植物が育つのにも適しています。こうした環境が、プランクトンを発生させる源になります。
河口部には、川が地中のリンや窒素などの有機物を溶かして運ぶため、それらが溜まり、海水と混ざることでこうした小さな生きものたちの栄養になるわけです。
カニは消波ブロックや岩場に多く棲息しており、簡単に捕まえることができます。カニをエサにしてクロダイなどをねらう釣りもあります。
カラス貝も岸壁に張り付いています。これもクロダイをねらうときのエサになります。
スジエビです。網で岸壁をガサガサとこすれば簡単に捕まえられます。
それでは、汽水域ではどんな魚が釣れるのか見ていきましょう。
スズキ
小魚を好んで捕食するスズキは、汽水域で釣れる大型の魚として人気です。大きさによってフッコ(30cmまで)、セイゴ(40cm以上)、スズキ(60cm以上)と呼び方が変わる出世魚です。ルアーでねらう釣り人からは「シーバス」と呼ばれます。
クロダイ
磯で釣れるイメージがありますが、汽水域にも多く棲息します。非常に硬い歯を持っており、エビ、貝類、カニなどの甲殻類を好みます。
キビレ
クロダイの仲間で、尾ビレ、尻ビレ、腹ビレの下側が黄色いのが特徴です。近年、多摩川など東京湾に流れ込む川の河口でよく釣れています。
マハゼ
汽水域の浅い泥底に多く棲息し、体長は15cmほどまで成長します。雑食性でさまざまな釣り方で釣れ、食べても美味しい人気の魚です。
テナガエビ
消波ブロックのすき間や岩場に隠れて棲息しています。梅雨時が最盛期と言われ、簡単な仕掛けでねらえるので人気です。素揚げやから揚げで丸ごと食べられます。
ヒラメ
川から流れてきた土砂が堆積するので、汽水域には底が砂地になっている場所もあります。そうした場所を好むヒラメも棲息します。
マゴチ
ヒラメと同様、砂地に棲息するマゴチも汽水域で釣れる魚です。肉食魚で、ルアー釣りの対象魚として人気です。
ウナギ
ウナギは海で産卵、ふ化を行ない、汽水域や川の中流域に棲息します。釣りの対象魚としてねらう人も多く、とくに夏場の夜釣りがもっとも釣りやすい。
モクズカニ
毎年9月ごろになると、汽水域の岸壁でよく見られます。塩ゆでなどにして美味しく食べられます。なお、都道府県によっては漁業権が設定されていて、遊漁券を購入する必要な場合もあるので注意しましょう。
川の下流域、とくに河口付近は護岸整備されていることが多く、足場のよいところで釣りが楽しめます。比較的ラフな格好でOKですが、どんなことに気をつけて準備すればよいのでしょうか。
動きやすい服装にスニーカーなどでOK。ただし、濡れているところや消波ブロックなどは滑りやすい可能性があります。そういった場所に行くのであれば、スパイクソールのついたシューズだと安心です。
荷物はできるだけコンパクトにして、機動力を確保するとよいです。
河口部は近隣住民の方々が普段から利用する場所でもあります。釣りの最中はもちろん、移動時も危険がないように注意する必要があります。
通行人の邪魔にならないように、ハリをぶら下げたまま移動したりしないようにしましょう。
サオも長いままだと危険です。振りだし式の延べザオなら、短く畳んで移動するようにしましょう。
移動時はサオをできるだけ短くして、ベルトで束ねておくようにしましょう。
リールのイトはバンドで束ねておき、散らばらないようにするとよいです。また、こうすることでイトを傷めないというメリットもあります。
ポイント移動時に、自転車があると非常に便利です。近年ではシェアサイクルのサービスも充実しているので、公共交通機関+自転車というアクセスもおすすめです。
それでは、道具も少なく、初心者にも簡単なハゼのミャク釣りを紹介します。ハゼは日本各地に分布し、時期は7月~12月くらいがシーズンです。
ハゼの代表的な釣り方です。今回紹介するのはいちばん左の「ミャク釣り」です。なお、リールを使わないサオのことを「ノベザオ」と呼びます。ハゼ釣りで使うノベザオの長さは、2~3mくらいが一般的です。
ノベザオの先端には、イトを結ぶリリアンというものがついていて、ここにイトを結びます。「チチワ結び」という結び方で、簡単に結ぶことができます。
仕掛けとしてはノベザオにミチイト、目印、オモリ、ハリ、という非常にシンプルなものになります。リールを使わないぶん、魚の引きがダイレクトに手もとまで伝わってくるのが魅力です。
目印は化学繊維素材で発色のよいものを結びます。ミチイトは1~1.2号のナイロンライン、もしくはフロロカーボンラインを使用します。オモリは4B(1.25g)、もしくは5B(1.75g)くらいでいいでしょう。
オモリからハリを繋ぐハリスは、0.8号~1号を使用します。ハリス止めを使うと、ハリがなまってきたときの交換が楽です。
ハリは6号か7号でOKです。
仕掛け袋は、左側から下に重なっているので、左から引き抜くとトラブルなくすんなり取り出すことができます。
ハゼはさまざまなエサで釣れますが、もっとも一般的なのはアオイソメです。エサのつけ方が、釣果アップのコツです。
アオイソメは頭のほうが硬いので、こちらから使うとエサ持ちがよいのでおすすめです。逆に身体の部分は身が柔らかく、食い込みがよいのが特徴です。
つけ方は、口からハリを刺しこみ、根もとまでアオイソメを通したら少しハリ先を出します。
ハリ先を少し出すことで、口の小さいハゼでも掛かりやすくなります。1匹まるまる使うとハリが口に掛からないので、カットしながら使います。
アオイソメを触るのに抵抗がある人は、指サックがあるといいでしょう。
こちらは、近年開発されたハゼ専用のエサ「ハゼほたて」です。食用のボイルホタテをエサに使う人もいるほど、ほたてはハゼの反応がよいのです。そこから開発されました。ハゼほたては、さきイカのような匂いがして、手にも匂いがつきにくいです。
繊維状になっており、必要な分を裂いて使います。アオイソメよりも若干ハリから落ちやすいので、指先で少し固めてから縫うようにして刺すのがコツです。
岸際の浅いところに棲息しているので、遠くまで投げる必要はありません。足もとからサオの長さ分を振り込んだら、底に沈めてアタリを待ちます。
ここで大事なのが、「張らず緩めず」のイトのテンションを保つことです。イトをピンと張りすぎず、かつ弛ませすぎないようにします。「張らず緩めず」は、ほかの釣りでもよく出てくる表現なので、ぜひ覚えておきましょう。
アタリは手もとまで伝わってきますが、目印が動くのを目で追ってもOKです。
ハゼは口の小さい魚です。アタリがあったとしても、違和感があればエサを離してしまうので、すぐに合わせるのは禁物。しっかりサオに重みが乗ったら、ゆっくり引き上げるのがコツです。
しかし、あまりじっくり食い込ませすぎると、ハゼがハリをのんでしまうこともあります。のまれてしまったときは、エラに指先を軽く入れると、外しやすくなります。
コツをつかめば、短時間で100尾超の釣果も望めます。
釣ったハゼを持ち帰る場合、クーラーボックスやジップ付きの袋などを忘れないようにしましょう。
近年、ハゼをルアーでねらう「ハゼクラ」という釣りも人気です。
マハゼのほかに、まれに「ウロハゼ」という魚が釣れることもあります。マハゼより大きく、トラ柄模様が特徴的です。
ほかにも、クロダイの幼魚が釣れることもあります。ハゼとはまた違う引きが楽しめます。
河口部は釣りだけでなく、漁師の方や近隣住民の方など、多くの人が利用する場所になっています。ゴミを残さないことはもちろん、周りの人の迷惑になることや、危険なことは絶対にやらないようにしましょう。地域によっては「投げ釣り禁止」などの看板が立っているところもあります。ルールを守って釣りを楽しみましょう。
釣り人のマナーの悪さが、釣り場をなくしてしまいます。
◆動画でも詳しく解説していますのでご覧ください!
釣りの準備&道具がわかる!アーバンフィッシング編【釣りあそびジャーナル】