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釣り場のマナー:知っておきたい「遊漁」の意味

2023年2月3日

みなさんは、「遊漁(ゆうぎょ)」という言葉をご存じでしょうか? 

英語ならレジャーフィッシング。

漁師が行なう「漁業」ではない、趣味としての釣りや採捕のことを、

国の法律や規則では「遊漁」といいます。レジャーで釣りを楽しむ人は「遊漁者」です。



遊漁としても楽しめる伊豆半島のキンメダイ釣り。アマチュアでも高級魚が釣れますが、そこにはルールがしっかり定められています

 

魚などの水産資源は誰でも好き勝手に獲っていいわけではありません。

何のルールもなく水辺の生きものが獲り放題では、やがて資源が枯渇してしまいます。

日本なら「漁業法」「水産資源保護法」「漁業調整規則」「水産基本法」といった法律や規則があり、

漁業に携わる人たちが守るべき事柄のほか、アマチュアである遊漁者に対しても、

漁業者の権利を侵害しないことや資源保護を念頭に、

釣り方などを含むルールが定められています。

 

遊漁は文字通り「遊び」です。

遊びだから価値が低いということは全くありませんが、

一方で「遊漁」という言葉には、釣りはあくまで健全なレジャーとして

資源を守りながら楽しむべきものという、自制もまた含まれてきたといえるでしょう。

 

そうした中、近年、インターネットなどの発達にともない、

遊漁の健全性が危惧される動きが見られるようになってきました。

ひとことでいえば、「釣った魚を売って儲けよう」という、

釣った魚の売買や、釣り人の射幸心をあおるような動きが出ているのです。

こうした販売サイトには、

たとえば「釣りすぎても売れれば大量廃棄せずにすむので釣魚のフードロスを解決」などという、

もっともらしい文言まで書かれたりしています。

 

これは非常に危険です。

少し冷静に考えれば分かりますが、一番大切なのは、

「そもそも釣りすぎないようにする」ことです。

自分で捌ききれない、食べきれない魚が釣れそうだというなら、

その時点でその日の釣りはやめるべきなのです。

売れるのだからいくら釣ってもよい、小遣い稼ぎになるから釣ろうと、

資源保護とは真逆の行動をあおっておきながら、

フードロスを解決などというのは詭弁もよいところです。

 


自分や家族が美味しく食べきれるだけの魚を、楽しい釣りの延長として、ていねいに魚への感謝とともに持ち帰る。当たり前の心掛けが、今あらためて求められています

 

現在の日本には、釣り人が釣った魚を売買することを禁止する法律や決まりはありませんが、

それはそうした事態を想定する必要もなかったからといえるでしょう。

では、仮に「禁止されていないならいいじゃないか」と、

遊漁者が釣った魚を売るという行為を始めたとします。

するとどうなるでしょう? 

最も心配されるのは、漁師や地元の漁業協同組合から

「それはもはや遊漁ではない。アマチュアの釣りにもっと規制をかけるべきだ」という声が上がることです。

そうした声が一度上がったら、行政としても無視はできず、

一部のアマチュアリズムを忘れた人の行為で、

その他の多くの健全に釣りを楽しんでいる人たちが、

釣り場を制限されたり、

そもそも釣りが許可されなくなる事態に発展するおそれが大いにあります。

 

繰り返しますが、どんな魚であっても乱獲は厳に慎むべきことです。

買い取ってもらえるのだからいくら釣ってもよいといった風潮が広まるなら、

漁業者からの反発を招くのはもちろん、

釣り人が自らモラルを捨てるようなものです。

「釣った魚がお金になる」という気持ちで水辺に立つことが、

どれだけ虚しい結果を招くことになるか。

釣りはあくまでも「遊漁」なのであり、

節度を守ってアマチュアリズムの中で行なう。

そうした心掛けを守ってこそ、結局は多くの人が楽しく健全に、

末永く釣りを続けることができるのです。

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