インターネットの魚釣り情報が充実し、ひとりでの釣りデビューがしやすくなった昨今、
釣りの技術と同じように身に着けておきたいのが釣り場のマナーです。
今回は船釣りで乗合船を利用する際のマナーを前後編にわけて解説します。
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「乗合船」とは船釣りのうち、乗合スタイルで楽しむもの。
ひとりでも乗船できますし、仲間と一緒に乗ってもOK。
ほかには仲間内だけで船を貸し切りにする「仕立て船」スタイルもあります。
船宿によっては「アジ船」や「タチウオ船」、「マダイ船」などと
魚種ごとに異なる船を出しています。
◆シリーズ:釣り場のマナー
ゴミの処理について
あいさつは必ず実践
違法駐車はダメ絶対
遊漁券と渓流のマナー
釣り船のマナー/乗合船の受付から乗船まで
釣り船のマナー/乗合船の出船から釣りの最中
ルアー釣りのマナー
堤防釣りのマナー
根掛かってしまったルアーの回収のコツ
キャッチ&リリースについて
ブラックバスのキャッチ&リリースについて
ライフジャケットの重要性
■出船前にしておくこと
乗合船は見ず知らずの人と同じ船に乗ります。
このため隣同士になった人には最初に挨拶をしておくことが大切です。
もし初心者であれば、あらかじめ「初めてです」と伝えておくとよいでしょう。
船長さんにも初心者であることを伝えておけば快くアドバイスをしてくれるはず。
なお釣り座は船長さんに近い場所(胴の間)のほうがアドバイスを受けやすいといえます。
出船前にタックルや仕掛けの準備をしておくと釣り場到着と同時にすぐに釣りを始められます。
魚を見つけた釣り場でお客さんにすぐさま仕掛けを投入してほしいと船長は思っており、
そうしないと群れが去ってしまう可能性もあるのです。
円滑な釣りを心掛けることも乗船マナーのひとつといえます。
あいさつから一日をはじめましょう!
出船前に仕掛けを組んでおくとスムーズです
■釣り場までの移動中
出船時間になり、船が港を出ると海況や釣り場によっては波を被ることがあります。
ほとんどの場合、船長さんが「右舷の人は波を被るかもしれないよ~」などと教えてくれます。
そうでなくとも周りの人の姿が消えたら船尾から休憩室に入るか、
その陰に移動することをおすすめします。
なお移動時は「サオを横に倒しておくように」支持される船宿もあります。
河岸払いした船が航行中に高架下をくぐるケースもあり、
サオを立てているとぶつかってしまう恐れがあります。
また移動の際はサオ掛けやサオ立てにしっかりとサオを固定し、
風で仕掛けが飛ばされないようにオモリは船べり下の台に置くとよいでしょう。
飛ばされやすいものはタックルボックスやクーラーボックスの中に収納し、
蓋はきちんと閉めてください。
サオを左右に回すと隣の方に迷惑。
横置きにすると同じく迷惑なうえに踏まれて破損する恐れも。
また仕掛け投入時に振りかぶるのは危険なので絶対にNGです。
釣りザオは左右に向けないことが重要です
■いよいよ釣り開始
釣り場に近づくと、船は速度を緩めます。
おもむろに常連さんたちが釣り座に戻り、エサ付けなどの準備を始めるでしょう。
それにならって最終的な準備をします。
ポイントに到着すれば、船長さんがマイクで知らせるか、
あるいはブザーなどが鳴り、投入の合図をします。
その際に船長さんからポイントの水深やタナなどの指示があります。
ポイント移動の際には、もう1回ブザーが鳴るか「はい、上げて~」といった指示があります。
回収の指示には速やかに従うことがマナーです。
仕掛けが下りた状態では船が移動できません。
乗合船は釣りものによってチームワークが大切になります。
たとえばコマセを使った釣りでは、
ひとりでも指示ダナを外してしまうと魚を集める層がズレます。
乗り合わせたお客さんが同じ層に仕掛けを入れて寄せエサを効かせたほうが
釣果を持続させやすいこともあり、ミチイトの色を見る、
水深カウンター付きのリールであれば水深表示の確認をするなど
指示ダナを外さないように釣ることがマナーになるケースもあります。
チームワークといえば投入のタイミングを指示される釣りもあります。
キンメダイやアカムツなどの深海域の釣りは、船長さんが投入のタイミングを計ります。
なにせ300m以上もある水深の海底に仕掛けを届けるのですから、
何本の仕掛けがどう流れるかを厳密に計算しておかないとオマツリします。
投入指示に遅れてしまった場合はその流しはお休みとし、次の投入に備えてください。
またマグロなどの大もの釣りではヒットした人がいれば
他の人は素早く仕掛けを回収しなければいけないケースもあります。
そうしないと魚が横に走ってオマツリをするからです。
これもチームワークが必要な乗合船のマナーです。
船長からタナの指示が出た場合は必ず従いましょう
コマセ釣りはチームワークがモノをいいます
マグロなどの大もの釣りでは周りの人がヒットしたら仕掛けを回収しましょう
■オマツリをした時は
船釣りでは隣同士、あるいは反対側の舷の人と仕掛けが絡まるオマツリは付きものです。
その際は「オマツリしました」と声を掛け合って相手を確認します。
そして回収した仕掛けが海面に近い人が率先して外してください。
互いにどの位置(水深何m)に仕掛けがあるのかを確認して回収するほうを決めます。
また船によっては船長さんや中乗りさんが手伝ってくれるケースもあります。
ミチイトに仕掛けが絡まり、どうしても外れない場合は
被害の少ないハリスや幹イトを切ってあげるのが心遣いです。
ミチイトを切ってしまうと水深分のイトがなくなり釣りが続行できないケースもあります。
そしてオマツリが解けたところで相手にお礼を言うのを忘れないことです。
オマツリは付きものです。しっかりとコミュニケーションをとって解消しましょう
◆オマツリの詳しい対処法はこちら
■船を汚した場合
イカ釣りでは船内に墨を吐かれることがあります。
取り込みの際にイカ墨がデッキに付いた時は、その人がきれいに洗い流すのがマナーです。
船長にとって船は持ち家といってもよい大切なものです。
きれいに使うことは乗船者にとって大前提のマナーです。
船宿によってはゴミ箱がある所もありますが、基本的にゴミは出さない・持ち帰るのがマナーです
■喫煙
船によっては所定の喫煙スペースが設けられています。
そうでない場合も隣合わせた釣り人に対し不快な思いをさせない配慮は必要です。
同じ船に乗り合わせた者同士、気持ちよく釣りができるような心遣いが大切です。
■備品は元の場所に
借りたライフジャケット、水汲みバケツ、エサ箱等は下船時に元の位置に戻しておきまし
ょう。
■車は速やかに駐車場から出す
車が多く2重3重に駐車している場合は、下船したら速やかに車を出しましょう。