残されたルアーやラインがもたらす悪影響
釣りと根掛かりは切っても切れない関係です。
とくに、障害物の近くにキャストを繰り返すことが多いルアーフィッシングでは、
根掛かりをいかに避けるか、根掛かりにいかに対処するかが非常に重要です。
釣り場の木に残されたルアーとライン。景観を損ねるだけでなく、生物が死んでしまう原因にも
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根掛かりした際にラインが切れてしまい、
ルアーやラインを水中や湖上の障害物に残してしまうことは、魚や自然環境に悪影響を及ぼします。
水中に残されたルアーは魚が誤食してしまうことが多々ありますし、
ラインはほかの釣り人の根掛かりの原因となり、負の連鎖を生みます。
湖上の木などに引っかかったルアーやラインは景観を損ねるだけでなく、
鳥などの野生生物が足や羽根にラインを絡ませて死んでしまうことも少なくありません。
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根掛かりを起こさないために
ではまず、根掛かりを極力起こさない、
起こしても回収率を高めるためにできることは何でしょうか。
まず心掛けたいのは、「細すぎるラインを使わない」ということです。
強度の高いラインを用いるだけで回収率はグッと上がります。
草や枝などに引っ掛かったルアーを強引に回収できますし、
フック(釣りバリ)が伸びてルアーが返ってくることもあります。
「釣りイトは細ければ細いほど釣れる」という考えもありますが、
それは限られた状況での話であり、むやみに細いラインを使う必要はありません。
次に、「その場に適したルアーを使う」です。
ルアーには様々なタイプのものがあり、
複数のフックがむき出しになっており引っ掛かりやすいものや、
根掛かりを避けやすいようフックが完全に露出していないものもあります。
バスフィッシングの場合、障害物周辺を探る場合はフックが露出しておらず、スリ抜けがよい上のようなものを使う。下のようなルアーを障害物周りに投げるのは、ある程度キャストの技術が伴ってからにするのがベター
ルアーを投げ込む場所はどんな場所なのか(水中のようす、岸際に障害物があるか)をよくイメージ・観察し、
根掛かりが起きやすそうな場所では障害物回避能力が高いルアーを使いましょう。
また、自身の釣りを見直してみるのも重要です。
普段岸から釣りを楽しんでいる人はボートフィッシングにチャレンジしてみるのもアリです。
ボートならルアーをひっかけた障害物まで回収に行けますし、
水中の根掛かりの回収率もオカッパリ(岸からの釣り)に比べれば圧倒的に高いです。
根掛かりのほとんどは「ミス」から生まれます。
つまり、釣りの技術レベルが向上すればするほど根掛かりの頻度は減ってきます。
「障害物の際に正確にルアーを投げ込めているか」
「ボトム(水底)の岩などをうまく避けつつルアーを操れているか」など、
根掛かりを減らす極意は釣り場に通って技術を磨くことが一番重要なのかもしれません。
根掛かったらどうするか
ここまでは「根掛かりを起こさないため」の話を中心にしましたが、
ここからは根掛かりが起きてしまったときの対処法を紹介します。
「あ、根掛かった」と思った際にやってはいけないことは、無理に引っ張ることです。
フックには「カエシ」という箇所があり、
ここまで深く刺さってしまうと刺さったハリが抜けなくなってしまうからです。
根掛かりしたら、強く引っ張らず、
ロッドを立ててラインを「軽く張る→緩める」という動作を繰り返します。
できるだけこの動作を瞬発的にやることで、
その反動でポロッとルアーが外れてくれます。
ボートフィッシングや、立ち位置を変えられる状況のオカッパリであれば、
根掛かった位置の反対方向まで回りこんでこの方法を試すとなお効果的です。
それでも外れなかった場合は「根掛かり回収機」の出番です。
大きく分けて「棒タイプ(有効範囲3m前後)」「ロープタイプ(有効範囲10m前後)」があります。
その有効範囲からわかるとおり、オカッパリで遠投した際の根掛かりや、
水深のある湖や海での根掛かりには対応できません。
棒タイプは近距離の根掛かり、それで届かないものにはロープタイプを用いる。このふたつが使用できる範囲の根掛かりであればほぼ回収可能
どちらも使い方は簡単です。
回収機先端のパーツをラインに沿わせてルアーの場所まで送り込み、
何回か小突いてやるうちにルアーのハリが回収機に引っかかることで回収できる、という流れです。
回収機の値段は高くても4000円くらい。
ハードルアーであれば、2~3個も回収できれば元を取れてしまう計算なので、
ぜひ購入することをオススメします。
私が普段楽しんでいるボートでのバスフィッシングであれば、
ここまでの方法で95%以上の根掛かりを回収できます。
特別な技術を要するものではないので、
ルアーのロストはアングラーの意識と準備で限りなくゼロに近づけることができるのです。
ラインを切るときの作法
あらゆる手段を付くしても、どうしてもルアーが回収できない……。
そうなって初めて、ラインを思い切り強く引っ張る回収法を試します。
使っているラインが太ければこれで運よくルアーを回収できることもありますが、
基本的にはラインブレイクしてしまうことがほとんど。
そのため、このとき意識することは「ルアーを回収できるか」よりも
「いかに水中にラインを残さないか」ということになります。
腕や手にラインを巻きつけ、ゆっくりと引っ張ります。
このとき必ず軍手や上着の上からラインを巻くようにしてください。
肌に直接巻くとラインが食い込んで怪我の原因になります。
ラインを直接引っ張る際は洋服や軍手の上から巻きつけること。思わぬ怪我に繋がりかねない
そのまま力強く引き続けると、強度の限界点を超えたところでラインが切れます。
どこか傷付いた箇所がないかぎりは、
基本的には負荷が掛かりやすいルアーの結び目やその周辺で切れてくれるため、
水中にラインはほとんど残らないはずです。
ルアーやラインを水中にどれだけ残さないか、と言うことは、
どれだけたくさんの魚を釣るかどうか、ということと同じくらい重要なことです。
綺麗な釣り場環境で末永く釣りを楽しむために、ルアーロスト0を目指しましょう。