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堤防で釣れる毒魚図鑑その1

2018年10月31日

お手軽にエントリーできる堤防釣りだが、

危険な魚が釣れることもある。

どれも特徴的な魚なので一度見ておけば見分けがつくはず。

工藤孝浩さん(神奈川県水産技術センター主任研究員)に解説してもらった。

 

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【刺毒】

ヒレに毒腺をもつ魚が釣れる機会は多く、刺されると腫れを伴って激しく痛む。

毒力は種類によって異なるが、刺毒魚は頭部やエラブタにも有毒のトゲをもつものがいる。

魚を素手でつかまないのはもちろん、

調理する際にはハサミでトゲの先端をカットするなど注意を払う必要がある。

刺された部位の痛みは半日~数日にわたり、

素人による有効な対処法はないので、我慢できない痛みがあれば病院に直行すること。

それでは1種類ずつ紹介しよう。

 

アカエイ(アカエイ科アカエイ属)

陸から釣れる刺毒魚の中で最も危険で、尾に強大な毒棘をもつ。

トゲの両側面には逆バリ状の鋸歯が並び、

触れただけで皮膚は切れ、刺さると容易には抜けず、

抜けても傷口が大きく割けて感染症のリスクを高める。

漁師は尾を切って水揚げするが、本種を持ち帰る釣り人はいないと思われるので、

釣れたら糸を切って逃がしてやること。

死んだ個体の毒棘も危険で、釣りあげて陸上に放置すると、

他の人がこれを踏んだりして二次災害を引き起こす。本種に限らず食べない魚は、できるだけ生かして海に返してやりたい。

 

ゴンズイ (ゴンズイ科ゴンズイ属)

背ビレと胸ビレに鋭い毒棘をもち、

刺されると激しい痛みに襲われる。

九州以南には非常によく似たミナミゴンズイが分布し、

毒性は同等と考えられている。

幼魚は「ゴンズイ玉」と呼ばれる濃密な群れをつくり釣れることはほとんどないが、

成魚は単独行動し夜釣りでよく釣れる。海産魚には珍しいナマズの仲間で、

独特の体形から区別は容易だが、暗がりでよく確かめずに掴んで刺される事故が多い。

味噌汁などで美味。最大で22cmになる。

 

オニカサゴ(フサカサゴ科オニカサゴ属)

沖釣りで人気のオニカサゴは標準和名イズカサゴという別種で、

水深30m以深に生息し岸からは釣れない。

一方、本種は南日本太平洋岸の水深30m以浅の岩礁域に生息し、

磯釣りなどで時おり釣れる。体側は複雑に入り組んだまだら模様に彩られ、

頭部に多くの皮弁をもつ。

イズカサゴと同様にヒレの各棘条と頭部の棘に毒がある。体長30cmになる。

 

ミノカサゴ (フサカサゴ科ミノカサゴ属)

深く切れ込み美しく伸びた胸ビレと背ビレが特徴で、

体には赤褐色の多数の横縞をもつ。泳ぎは優雅だが、

捕食時は目にもとまらぬ速さで獲物を丸呑みにする。

泳がせ釣りではアジを丸呑みして釣れ上がることがある。ヒレの各棘条に強い毒があるが美味。

北海道南部から琉球列島の浅い岩礁や藻場に分布する。全長30cmになる。

 

ハオコゼ(ハオコゼ科ハオコゼ属)

陸からの小もの釣りの定番外道で、

背ビレのトゲに毒を持つことはよく知られているが、

頭部のトゲにも毒がある。浅海の藻場や岩礁域にすみ、

タイドプールでも普通にみられ、釣りはもちろん磯遊びでも注意を要する。

夜行性で、昼間は物陰に隠れてじっとしていることが多い。

青森県から九州南岸までの沿岸域、瀬戸内海に分布。最大で10cmになる。

 

アイゴ(アイゴ科アイゴ属)

主に南西日本の浅い岩礁や藻場に分布し、

各ヒレのトゲの先端に毒があるが関西ではバリ、

バリコなどと呼ばれる人気の釣りもの。

近年では温暖化を背景に関東以北に勢力を拡大している。

しかし本種を食べる食習慣がない関東では、毒棘と内臓の臭みから人気がなく、

海藻やアマモを食い荒らして磯焼けの原因となっている。本種を釣って美味しく食べ、磯焼けの防止にも貢献したい。

 

◆堤防で釣れる毒魚図鑑その2はコチラ

 

 

 

 

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